分析だけで終わらせない──アクセス解析を“次のヒット企画”に活かす方法

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「PV数が伸びている!よし、これで今月は安心だ」

「最近のセッション数が落ち込んでるな…何か問題でもあるのか?」

__PV数や直帰率、セッション数といった指標を”ただ眺めて終わり”にしていませんか?

実は、こうしたデータには「ユーザーの行動原理」や「潜在的なニーズ」が隠されており、そこから”次のヒット企画”が生まれる大きな可能性を秘めています。とはいえ、いざ数字を活用しようと思うと「どの指標を見ればいいのかわからない」「定期レポートを作っているだけで具体的な施策に落とせていない」といった声も少なくありません。

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社が行なった2024年の調査では、アクセス解析データをWebサイトの改善に活用できていない理由やデータ活用の難しさが明らかになりました。

データの最適な活用方法や、適切な施策につなげられないという悩みはマーケティング担当者の切実な悩みであるようです。

本記事では、企業のデジタルマーケティング担当者を主なターゲットに、「アクセス解析を”次のヒット企画”へと結びつけるための具体的アプローチ」を解説します。
特に「質の高いコンテンツや記事制作を外注したい」と考えている企業の方にも役立つよう、サイト運用やマーケティングの基礎的な部分から、AIや機械学習を活用した高度な分析手法まで、幅広くカバーします。単なる数字の羅列に見えたデータが”頼れる相棒”に変わってくるでしょう。

アクセス解析は”アイデアの宝庫”──データを活かす最初のステップ

アクセス解析によって得られる代表的な指標には、以下のようなものがあります。

アクセス解析の代表的な指標

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  • PV(ページビュー)数:「このページ、先月より30%も伸びている!」と喜べる、コンテンツの人気度を示す基本指標
  • セッション数:「新規ユーザーが増えているのに、なぜ成約に結びつかないのか?」と疑問を投げかける訪問回数の記録
  • 直帰率:「せっかく来てくれたのに、すぐに帰ってしまう…」というユーザーの”すれ違い”を数値化したもの
  • 滞在時間:「この記事、みんな最後まで読んでくれている!」とコンテンツの質を推し量る貴重な手がかり

これらの数字をただレポートにまとめて提出していても、なかなか「次の施策」までは落としこめません。そこで必要になるのが「目的やゴールの明確化」です。アクセス解析の結果を“データドリブン”な企画へと活かすには、そもそも自社のWebサイトや施策のゴールをはっきりさせることが不可欠です。

“目的再定義”の重要性

たとえばBtoB企業が「サイトを通じて問い合わせを増やしたい」という明確な目標をもっている場合、見るべき指標は「PV数」や「直帰率」だけでは足りません。「問い合わせフォームへの到達率」や「送信完了数」をKPIに設定し、そこまでの導線を細かく分析する必要があります。目的が定まれば、「どの数値を優先的にウォッチすべきか」がはっきりするため、アクセス解析が”次のヒット企画”を生む「種」となりやすいのです。

“分析だけで終わらせない”ために

「分析だけで終わらせない」ためには、OODA(Observe-Orient-Decide-Act)やSTPD(Segmentation-Targeting-Positioning-Differentiation)、DCAPPDRなど多彩なフレームワークを柔軟に取り入れるのが有効です。

各手法は素早い意思決定、細やかなターゲティング、アクションの反復など特徴が異なるため、自社の課題や目的に応じて選択・組み合わせを行いましょう。こうした多面的な視点を取り入れることで、数字が単なる報告値にとどまらず、さらなる”気づき”と”新たな施策”を生み出すための有効な手段になるのです。

離脱率の高いページを救う”料理レシピ”アナロジー

データ分析は、一流シェフの料理プロセスにもたとえられます。

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  1. レシピ(仮説)を考える:「このページには親しみやすさが足りないのでは?」
  2. 実際に料理(施策)して:「写真を実際のスタッフの顔に差し替えてみよう」
  3. 味見(モニタリング)で結果を評価し:「お、滞在時間が23%も増加した!」
  4. さらに味付けを調整(改善)していく:「次は動画も入れてみよう」

この工程を繰り返すことで、徐々に”おいしい”成果に近づいていきます。アクセス解析の数字を見て「味付けが濃すぎた」「隠し味が足りない」などと検証しながら施策を洗練させていきましょう。数字は冷たくても、その背後には生きたユーザーの「声なき声」が隠れているのです。

次のヒット企画を生むための具体的な分析アプローチ

ここからは、アクセス解析をより深く活用して”次のヒット企画”のヒントを得るための具体的なアプローチを紹介します。ツールやセグメンテーション、さらにはAI・機械学習の活用まで、幅広い観点で見ていきましょう。

セグメンテーションで”共通点”と”違い”をあぶり出す

全ユーザーをひとまとめにして見るだけでは、面白い発見が埋もれてしまう可能性大です。そこで有効なのがセグメンテーションです。たとえば属性を以下のように分類してみると、新しいインサイトが得られます。

  • 流入元別:「検索から来たユーザーが欲しいのは情報、SNSから来たユーザーが欲しいのは共感」と、明確に異なるニーズが見えてくる
  • ユーザー属性別:「この商品、実は40代女性よりも20代男性の方が滞在時間2倍!」という意外な発見が宝の山になる
  • 行動指標別:「3回以上リピートしたユーザーは特定のページを必ず見ている」という隠れた成功パターンを発掘できる

仮に「30代男性のリピーターでSNSから流入したユーザーのコンバージョン率が高い」といった事実を発見できれば、その層向けのキャンペーンやコンテンツを強化することで効果を最大化できます。

小さな例: 「SNS経由のユーザーだけ異常に滞在時間が長い」というセグメントを見つけたら、SNS向け施策のメリットを再評価したり、SNS上でのブランディング戦略を強化したりする一手が考えられます。「この現象は偶然?それとも何か理由があるの?」と好奇心を持って掘り下げることが、次のヒット企画への第一歩です。

最新アナリティクスツールで”ユーザー行動”を立体的に可視化

GA4(Googleアナリティクス4)の導入が進む一方で、AmplitudeContentsquareなどのツールが注目を集めています。これらはユーザー行動をより細かく可視化したり、UI/UX観点での定性的な分析をサポートしたりするのが特徴です。

  • GA4の強み:「あのボタン、クリック数より滞在時間との相関が強い」とイベントベースで思わぬ発見ができる
  • Amplitudeの強み:「ユーザーが迷子になる3つの分岐点」を特定し、そこを改善するだけで離脱率が半減することも
  • Contentsquareの強み:「みんなスクロールせずに見落としている重要情報がある」とヒートマップが教えてくれる真実

たとえば、あるページの訪問者数は多いのにコンバージョンに至らない場合、「画面中央にあるCTAボタンが実は見落とされている」というケースがヒートマップ解析などで明るみに出ることがあります。こうした具体的な”可視化”ができるのは、最新ツールならではの強みです。「なぜこのページは成約率が低いのだろう?」という疑問が、ヒートマップ一枚で解決することもあるのです。

AI・機械学習で”潜在ニーズ”をあぶり出す

アクセス解析をさらに進化させる方法として、AIや機械学習を活用する手段も注目されています。大量のユーザーデータを自動で解析し、人間の目では見落としがちな相関関係や行動パターンを提示してくれるからです。

  • 事例:最新のAI分析プラットフォームでは、「この5つの行動をした人は97%の確率で契約する」といった”予測パターン”や、「深夜に閲覧→3日後に再訪→資料請求」という”隠れた成功導線”を自動で発見してくれます。

ただし、AIの結果をそのまま鵜呑みにするのではなく、「なぜそのパターンが存在するのか」「本当に因果関係があるのか」を人間側が解釈するプロセスが必須。
いわば”AIの発見”を人間が”ストーリー”として整理することで、次のヒット企画につなげやすくなるのです。AIは「こんなパターンがありますよ」と教えてくれるだけ。それを「なるほど、これは○○という心理が働いているから!」と意味づけるのは、私たちマーケターの役割なのです。

クロスチャネルデータの統合でユーザーを”360度”把握

Webサイト内のデータだけでなく、SNSや広告、さらには実店舗のPOSデータなどを組み合わせる「クロスチャネル分析」を行うと、ユーザー像がより立体的に見えてきます。

  • 具体例
    • 実店舗×オンライン購買データ:「商品を店舗で一度触った人はオンラインでの購入決断が2.7倍速い!」という驚きの事実が、次の展示会戦略を変えるかもしれない
    • メールマガジン×購入履歴:「先週のメルマガを開封した人は、今週末に高確率で高額商品を検討している」という”タイミングの法則”を発見できる

こうした複合的なデータを解析することで「リアルとデジタルをまたいだユーザー行動パターン」が浮き彫りになります。「オンラインでは情報収集、オフラインで購入を決断」といったユーザー心理も見えてくるので、チャネルごとの役割を最適化できるのです。データの壁を取り払い、顧客視点で「一つの旅」として捉え直すことで、次のヒット企画は自ずと姿を現します。

(参考リンク: Prepare for the future with Google Analytics 4

(参考リンク: Amplitude Named a Strong Performer in Analyst Report for Digital Intelligence Platforms

(参考リンク: See how your content is performing

“次のヒット企画”を生む進め方の例:4つのステップ 

アクセス解析から得たデータを実際のマーケティング施策に落とし込むための具体的なステップとアドビ株式会社の事例をご紹介します。これらのステップを順番に実践することで、単なる数字の羅列から価値ある洞察を導き出し、次のヒット企画へとつなげることができるでしょう。

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ステップ1:現状把握と課題の優先度づけ

まずは現行のアクセス解析レポートやKPIを洗い出し、「何が最重要課題なのか」を明確化します。問い合わせ数か、購入率か、はたまた会員登録数か……。主目的に応じて、レポートで見るべき指標や優先度も変わってきます。

ワンポイント:現状の数値をざっと眺めるだけでも「直帰率が予想より高い」「特定ページの滞在時間が異常に短い」といった課題が見つかるかもしれません。そこから優先して対策すべき領域を特定し、リソースを集中するのが効率的です。

ステップ2:詳細分析と仮説立案

セグメンテーションや最新ツールを活用して「どこで離脱するのか」「どんな属性のユーザーがコンバージョンしやすいのか」を細かく洗い出します。

  • Amplitudeならユーザーがサイト内を移動するフローを可視化し、どの段階で離脱が生じるかチェック
  • Contentsquareならページ上のヒートマップを見て、クリック率やマウスホバー率から改善ポイントを特定

仮説例として、「CTAボタンが視認しづらくてコンバージョン率が落ちている」「リピーターが商品詳細ページを2回以上見たあとで購入している」など、具体的な施策に結びつく“仮説”を設定します。

ステップ3:改善施策の実行とモニタリング

仮説に基づき、サイト構成やコンテンツ内容、広告配信のターゲットなどを実際に変更します。たとえば、CTAボタンの色を変える・サイズを大きくする・文言を工夫するといったミニマムな調整でも、効果が顕著に出るケースは少なくありません。

モニタリングでは、変更後にアクセス解析データがどう動いたかをこまめにチェック。失敗してもリスクが少ない範囲で“実験”を繰り返す姿勢が大切です。

ステップ4:検証から、新たな知見を社内にフィードバック

 結果を振り返り、「なぜ上手くいったのか、いかなかったのか」を検証して次の施策に反映します。この繰り返しが企業のマーケティング力を底上げし、“次のヒット企画”を生み出す原動力になります。

実践例

  • CTAボタンを変えたらコンバージョン率が3%から5%にアップし、結果的に売上も増加
  • 離脱率を下げるために記事の冒頭に図解を入れたら滞在時間が30秒延びた
  • カート落ちユーザーをAIで再ターゲティングした結果、復帰率が10%アップ

これらの事例を社内Wikiやナレッジベースに蓄積しておけば、新担当者が着任してもスムーズに過去事例を参照できます。

Adobeの成功事例

アドビ株式会社のMA(マーケティングオートメーション)ツール「Adobe Marketo Engage」は、SEO施策に取り組み安定したリード獲得を実現しました。グローバル展開によるサイトフォーマットの制約がある中で、以下のステップでマーケティングの成功を収めています。

まず、サイト分析と競合キーワード分析で課題を明確化。次に、SEO向上のための100以上の施策アイデアを優先順位付け。特に「MA」というキーワードへの注力や、導入事例ページの分割により検索順位が大幅に向上しました。

実装においては、インパクトがあり制約に触れず実装難易度の低い施策から着手。専門性の高いコンテンツ制作チームによる質の高い記事作成も重要な役割を果たしました。

これらの取り組みにより、SEOでのリード獲得数は約150%、商談件数も130%向上。データ分析に基づき、カスタマージャーニーに合わせた施策を検討しています。

施策の効果をさらに引き上げるためのコツ

 “仮説検証”を楽しむ企業文化を育む

 数字やデータが苦手な人にとっては、アクセス解析という言葉だけで敷居が高く感じられるかもしれません。しかし、考え方を変えれば「もしここのCTAをこう変えたら、結果はどうなるのだろう?」という“実験”そのもの。 ちょっとした遊び心をもって取り組めば、周囲を巻き込みやすくなり、データ分析が組織文化として根付く可能性が高まります。社内勉強会や報告会をカジュアルに行うのも一案です。

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 成功・失敗事例を体系的に蓄積する

ある施策が成功した理由や失敗した理由は、他部署や新プロジェクトでも役立ちます。「社内ナレッジの共有」によって、同じミスを繰り返さないだけでなく、“成功パターン”をどんどん積み上げていくことができます。 特にデジタル領域は技術や流行の変化が速いので、常にアップデートされた知見を管理できる仕組みがあると安心です。

社内外の連携を強化する

ライフネット生命やセブン‐イレブン・ジャパン、NTTドコモなど大企業のマーケティング戦略でも、部署を横断した課題への取り組みが進んでいます。部署の壁を越えた連携の強化が、データ分析にとどまらない施策実現の鍵となっているのです。

アクセス解析を担当する部門と、実際にサイト改善や広告運用、コンテンツ制作を行うチームとが分断されていると、施策の落とし込みがスムーズに進みません。もしコンテンツ制作を外部の編集プロダクションやライターに依頼している場合でも、解析データや改善目標を共有しておけば、より”狙いを定めたコンテンツ”を作ってもらうことが可能になります。データから得た洞察を、実際のコンテンツや機能改善に反映させる一貫したプロセスが、成功の確率を高めます

(参考リンク: マーケティング起点の企業成長へ、AI 活用が進む企業の共通項は?ーー ライフネット生命、セブン‐イレブン・ジャパン、NTTドコモ:Google Marketing Live 2024

“データが語る物語”をヒット企画に変換するために

 アクセス解析は単なる数字のレポートでは終わりません。目的を定義し、セグメンテーションや最新ツールを駆使すれば、数字の裏にある“人間の行動”や“潜在ニーズ”を解き明かし、新たなヒット企画を生む大きなチャンスを得られます。さらにAI・機械学習を取り入れれば、人間の直感だけでは見つけられない相関関係を見つけることができるでしょう。

しかし、そのためには「仮説を立てて検証し、結果を次につなげる」という地道なプロセスを楽しむ企業文化が必要になります。

そして、質の高いコンテンツを作りたいならば、数字から導いたインサイトを言葉やデザイン、クリエイティブへ落とし込む“編集力”が欠かせません。ここで編集プロダクションなどの外部リソースを活用すれば、専門家の視点を取り入れつつスピーディーに施策を進められます。

データが増え、ツールが進化している今こそ、アクセス解析を“アイデアの宝庫”として位置づける絶好のタイミングです。次のヒット企画を狙うなら、まずは社内外の連携を強化し、仮説検証のプロセスを回すための仕組みづくりから着手してみてはいかがでしょうか。数字の裏に隠された“ストーリー”を見抜くことで、あなたのビジネスにも新しいブレイクスルーが訪れるはずです。

この記事を書いた人

雨輝編集部

「品質重視」「成果戦略」「価値創造」の理念をもとに媒体の垣根を超えて、"今"と"これから"読まれるコンテンツづくりを追求し続ける編プロ。記事づくりではなく、メディア戦略から、創造性に富んだ企画、最新のSEO対策、AI時代に適したマーケティングまで幅広い範囲で企業をサポートしています。