Google検索結果(SERPs)の画面はもはや、かつての「10本の青いリンクが並ぶだけ」のシンプルな場所ではなくなりました。
画像、動画、リッチリザルト、そしてAI Overviewsなど、複数の要素で構成された複合的な表示へと進化しています。
「順位計測ツールでは上位をキープしているのに、なぜか流入が減っている」と違和感を覚え始めているSEO担当者も少なくないはずです。
複雑に見える検索画面の変化ですが、私たちが取るべき対応は以下の3つの視点に整理できます。
Google検索(SERPs)激変を乗り切る3つの視点
1:検索結果での「自社の見え方」を整える
2:突然の「仕様変更や機能の廃止」に慌てず対応する
3:これから始まる「新しい集客のチャンス」を掴む
本記事では、Google公式ドキュメントを基に、各視点からの現状と具体的な対応方法をわかりやすく解説します。
視点1──検索結果での「自社の見え方」を整える
検索結果は、いわばユーザーに向けた自社の「デジタル上のショーウィンドウ」です。
どのような看板を掲げ、どのメインビジュアルを見せ、どんなキャッチコピーで入店(クリック)を促すのか。私たちが主体的にコントロールできる、この3つの要素を解説します。
1ドメイン1サイト名──店舗の「正式な看板」を掛ける
検索結果の最上部に表示されるサイト名は、いわばお店の看板です。間違った名前表示のせいで読者を逃さないための、確実な設定ルールを見ていきましょう。
サブディレクトリごとの個別設定は不可という原則
実は、どんなサイト名でも自由に設定できるわけではありません。
Googleのサイト名ドキュメントに明記されているとおり、Google検索では1ドメイン(または1サブドメイン)につき、サイト名は1つしか表示されません。
1つのドメインに対して、看板は1枚だけというルールです。
重要なのは、ドメインの中のフォルダ(example.com/newsのようなサブディレクトリ)ごとに独立したサイト名を持たせられない点です。
なぜなら、Googleは「ドメインまたはサブドメイン単位」を1つの独立したお店(Webサイト)として認識する仕組みになっているためです。
そのため、性質の異なる複数のサービスを同じドメイン内のフォルダで運営していると、看板と陳列された商品のイメージが食い違ってしまうリスクがあります。
構造化データ「WebSite」を用いた正しい設定手順
それでは、この看板を正しく指定するにはどうすればよいのでしょうか。
答えは、Googleという大家さんに「これがうちの正式な看板です」と伝わる図面、つまり「WebSite」という種類の構造化データをトップページに追加することです。
技術的には、正式名称とホームページのURLの2項目が必須となります。略称やカタカナ表記・英語名など複数の呼び方がある場合は、代替名(alternateName)として優先順位をつけて登録することも可能です。
意図したサイト名が表示されないときの確認手順
正しく設定したはずなのにうまく表示されない場合は、焦らず以下の順で原因を特定してみてください。
・設定コードに文法ミスがないか確認(Schema Markup Validatorなどのツールを使用)
・Googleの検索ロボット(Webサイトを自動で巡回するプログラム)がホームページにアクセスできるか確認
・「検索ロボットの立入禁止リスト(robots.txt)」や「検索結果から除外する設定(noindex)」が誤って適用されていないか確認
・URLの表記が統一されているか確認(HTTP/HTTPSとwwwの混在がないか)
設定を変更したあとは、Googleが再確認するまで数日から数週間かかる場合があるため、ひとまず待ってみることも重要です。
最終的にどのサイト名を表示するかはGoogleが判断しますが、構造化データで正確な情報を渡しておくことで、意図どおりの看板が表示される可能性が格段に高まります。
優先画像──目を惹く「メインディスプレイ」を指定する
検索結果のサムネイルは、ユーザーの視線を引きつけるメインディスプレイです。2026年に明文化された「Googleに画像を直接リクエストする」3つの方法と、選ばれる画像の条件を紹介します。
2026年3月に追加された「優先画像」のルール
2026年3月、Googleの画像SEOベストプラクティスドキュメントに「優先画像(Preferred image)」セクションが追加されました。
これは、検索結果のサムネイルとして表示する画像について、運営者が自ら指定・推奨する方法が公式に明文化されたことを意味します。
ショーウィンドウのメインにどの商品を飾るか、店側からリクエストできるようになったイメージです。
優先画像を指定するための3つのアプローチ
具体的な指定方法としては、主に以下の3つが推奨されています。環境に合わせて最適なものを選びましょう。
・このページの代表画像として指定する(構造化データのprimaryImageOfPageを使用)
・そのページの主役となる対象(記事や商品など)の画像として紐づける(構造化データのmainEntityやmainEntityOfPageを使用)
・SNSシェア用の画像設定を使う(OGP設定のog:imageというメタタグ)
サムネイルとして選ばれやすい画像の落とし穴
選ぶべきは、ページの内容を代表する、関連性の高い画像です。
ここで注意したいのが、サイトロゴや文字が多すぎる画像は避けるべきという点です。
なぜなら、検索結果の小さなサムネイル枠に合うように縮小されると、文字やロゴは潰れてしまい、「何が写っているか」をユーザーが瞬時に判別できなくなるためです。
縦横比が極端な画像もトリミングで不自然になるため避けましょう。適切な画像を設定することで、ユーザーの目を惹くディスプレイを実現しやすくなります。
タイトルリンク──入店を促す「店頭のポップ」
ユーザーがそのページを開くかどうかを最後に決めるのは、店頭のポップである「タイトル」です。
Googleがタイトルを生成する仕組みと、現場でよく起きる致命的な設定ミスを解説します。
Googleはページのどこを見てタイトルを決めるのか
検索結果に並ぶタイトル(タイトルリンク)は、読者の心をつかむキャッチコピーです。
Googleのタイトルリンクドキュメントによると、Googleはタイトルを生成する際、1つの要素だけを見ているわけではありません。
ページに設定された複数の情報(title要素、見出しであるh1、SNSのOGP用タイトルである「og:title」、ページ内の目立つテキスト、構造化データなど)を総合的に参照して自動決定しています。
CMSのデフォルト設定が招くクリック率低下
仕組みを理解したうえで気をつけたい実務上の落とし穴が、CMS(コンテンツ管理システム)のデフォルト設定です。
デフォルト設定のままにしていることで、「すべてのページに対してサイト全体の名称だけが出力されてしまう」という状態になっているパターンが多く見受けられます。
これでは、どの商品を見ても同じポップが貼られている状態になり、各ページの魅力が伝わりません。
記事ごとの内容に合った固有のタイトルを設定することが、クリック率(CTR)を維持する基本対策になります。
視点2──突然の「仕様変更や機能の廃止」に慌てず対応する
ショーウィンドウを整える一方で、商店街のルールそのものが変わることへの備えも必要です。
今まさに進行している「FAQリッチリザルトの廃止」を例に、仕様変更に対する立ち回り方を考えます。
FAQリッチリザルトの完全廃止に向けたタイムライン
検索結果でひと際目立っていたQ&A表示機能が、ついに完全な終わりを迎えます。いつ、どのようにサポートが終了するのか、これまでの経緯を含めて整理しましょう。
2023年の制限から2026年の完全廃止へ
FAQリッチリザルトとは、Webページに「よくある質問と回答」の構造化データ(FAQPage)を設定することで、検索結果にQ&Aが折りたたまれて表示される機能のことです。
画面の占有面積が広がるため、かつてはクリック率向上の施策として広く取り組まれてきました。
しかし、実はこの機能は2023年8月の段階で、一般サイトへの表示がすでに停止されています。
それ以降は政府機関や医療機関といった権威あるサイトのみに限定して表示されていましたが、Googleの構造化データドキュメントに明記されたとおり、残されていたこれらのサイト向け表示も含め、以下のスケジュールで完全に廃止されることになりました。
・2026年5月7日:FAQリッチリザルトのGoogle検索への表示が停止(段階的に)
・2026年6月:分析ツールのFAQ関連サポート終了(リッチリザルトレポートおよびリッチリザルトテスト)
・2026年8月:APIでのFAQ情報提供終了(Search Console API)
なぜ完全廃止に至ったのか(業界の考察)
Googleはこの2026年の完全廃止について、公式ブログなどでの明確な理由説明を一切行っていません。
ただし、2023年に一般サイト向けの表示を制限した際、Googleは「よりクリーンで一貫した検索体験のため」と言及していました。
AI Overviewsなどの新しい機能が組み込まれるなかで表示スペースを最適化する狙いや、検索トラフィックを不当に引き込もうとする過剰なSEO対策を抑制する意図があったのではないかと、業界内では推測されています。
既存の構造化データは今すぐ削除すべきか
現時点でGoogleは、すでに設定したFAQPageの構造化データ自体の削除は求めていません。
設定を残したままでもペナルティはなく、単に表示されなくなるだけです。
かつて有効だった施策がいつの間にか効果を失うことは、SEOの世界では日常茶飯事です。
Google Search Centralの更新履歴ページを定期的に確認し、「今どの機能が有効で、今後は何が使えなくなるのか」を先回りして把握する習慣をつけることが、無駄な作業を防ぐ近道です。
視点3──これから始まる「新しい集客のチャンス」を掴む
古いルールがなくなる一方で、新しい導線やチャンスも生まれています。ここからは、今後注目すべき新しい流入経路と、向き合うべきAIの進化について見ていきましょう。
サイト運営者向けの新機能「優先ソース」
「このお店の情報を優先して読みたい」というお得意様を囲い込む、新しい集客機能が登場しました。サイト運営者が今すぐ試せる具体的なアプローチを紹介します。
優先ソース機能が導入された背景と仕組み
Googleの優先ソースドキュメントによると、これはユーザーが「ソース環境設定ツール」(google.com/preferences/source)でお気に入りのサイトを選択すると、そのサイトのコンテンツがトップストーリー(Top Stories)、AIモード(AI Mode)、AI Overviewsにおいて「優先バッジ」付きで表示されやすくなる機能です。
ネット上にAI生成コンテンツや情報が溢れかえるなかで、ユーザー自身が「信頼できる、いつも読みたい」と思うお気に入りの情報源を、検索画面の中から迷わず見つけられるようにする狙いがあると考えられます。
サイト運営者がユーザーを誘導するための2つのアクション
公式ドキュメントに「Webサイトオーナーであれば」と記載されていることから、ブログや企業メディアなど、Webサイトを運営している人なら誰でもこの機能を利用可能です。
なかでも、ニュースやコラムなどのコンテンツを継続的に配信しているサイトにとっては、ファンをリピーターにする効果の高い機能といえます。
ユーザーに優先ソースに登録してもらうための具体的なアプローチとしては、以下の2つの方法があります。
・ディープリンクの配布:登録ページに直接誘導するURL(https://google.com/preferences/source?q=ドメイン名)をSNSやメルマガ等に組み込む
・登録ボタンの設置:自社デザインのボタン、またはGoogleが提供するバッジ素材を使ったボタンをサイトに設置する
ドメイン全体レベルの機能であるため、サイト内の特定フォルダ(example.com/blogなど)だけを対象にした設定はできません。
運営するメディアがニュースやコンテンツの定期配信を行っているなら、今すぐ試す価値のある新しい集客施策です。
AI Overviewsと検索結果の変化──観察すべきこと
進化を続けるAI機能は、検索画面の景色を劇的に変えつつあります。順位ツールだけでは見えない「本当のアクセス減少の理由」を探るための、正しい観察手法を解説します。
多様化するAIの表示形式
AI OverviewsやAIモードの検索画面は今もアップデートが続いており、テキストだけでなく画像や動画を含んだ多様な表示形式が登場しています。
検索結果のあり方そのものが、刻々と姿を変えている過渡期にあるといえます。
現場の検索画面を直接観察することの重要性
「順位は変わっていないのに、なぜかアクセスが落ちた」という状況に気づいたら、まずは実際の検索画面を開いてみてください。
検索順位そのものは下がっていなくても、AIによる回答エリアが画面の大部分を占拠した結果、通常の検索リンクが下へと追いやられ、クリックされにくくなっているという「変化の理由」が目に見えるはずです。
Search Consoleのデータを見るだけでなく、実際の検索画面を自分の目で確認し、Google Search Centralの更新履歴ページを照らし合わせながら変化の要因を追いかける。これこそが、これからの検索環境における正しい向き合い方です。
数字だけでなく「実際の検索画面」と向き合う
複雑化するSERPsの変化も、3つの視点で整理すれば明確になります。
1つ目は「自社のショーウィンドウ(見え方)を整える」こと。
サイト名(WebSite)、優先画像(primaryImageOfPage等)、タイトルリンク(title要素等)に正しい情報を設定し、Googleとユーザーに魅力を伝えます。
2つ目は「仕様変更や機能の廃止に対応する」こと。
FAQリッチリザルト廃止のように効果がなくなる施策をいち早く見極め、工数の無駄を省きます。
3つ目は「新しく生まれるチャンスを掴む」こと。
優先ソース機能の活用や、進化するAI表示の動向観察です。
これらすべてに通じる最も重要な姿勢は、順位だけを追うのではなく「実際の検索画面そのものに目を向けること」です。
変化の兆しに一番早く気づけるのは、常に実際の画面を見つめている人です。
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この記事を書いた人
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