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「訴求力のある記事」「多くの人が共感できそうな企画」「納期は来月半ばくらい」。執筆・編集業界では、このような“感覚的”な指示のもとに仕事が進められることがあります。
曖昧に仕事を進めることは、結果的に発注者や受注者の負担につながりがちです。発注側が「やっぱり違ったのでここ修正」と指示すれば、受注側は「それなら最初から言ってくれよ」と苛立ちが募ってしまいます。これが繰り返させれると時間が無駄になるだけでなく、心身のストレスも蓄積されるので仕事としては健全ではありません。
優秀な編集者やライターは、無駄な負担を回避省するための提案をすることができます。自分も相手もストレスを軽減できて、時間コストを削減できれば、新たな仕事と取り組める機会も増えるわけです。今回は、そんな“一石三鳥”の仕事の進め方をご紹介します。
できるだけ見える化を
“情報”を見える化
クラウドソーシングの場合は業務内容が明確に記されている場合もありますが、なかには詳細がわかりづらい案件も存在します。特に、ホームページやSNS経由で仕事の依頼の相談がある場合には、かなり情報が少なかったり曖昧だったりすることが珍しくありません。
- ジャンル
- 単価
- 本数
このくらいの情報だけで相談を持ちかけられた経験のある人も多いでしょう。仕事欲しさにすぐに二つ返事してしまう人もいるかもしれませんが、それではトラブルにつながりかねません。少なからず私は、最低限以下の情報は確認するように心がけています。
- 掲載媒体はどこなのか?
- 構成案は貰えるのか?
- 画像は必要なのか?何枚なのか?
- 継続性のある案件か?
- 納品形態は何か?
- 納品は毎月まとめでも問題ないか?分納か?
- 毎月のスケジュールはどのようになっているのか?
- レギュレーションはあるのか?
- 修正の取り決めはあるのか?
- 単価は税込か税抜きか?
- 記名性か?無記名性か?
- 媒体としてのゴールはどこなのか?
場合によってはこの倍以上の質問をします。特に構成案の有無によって労力は大きく変わります。単価が良くても本数が少なく単発案件の場合、大量なレギュレーション(規定)を読み込むことになってしまうと費用対効果が悪いこともあります。できるだけ情報は事前に確認して、無理のない仕事を心がけましょう。
一点補足しておくと、これだけ多くのことを確認できるのは、相手が自分に興味をもってくれているからです。クラウドソーシングなどで自ら相手にアプローチをする場合、依頼確定前に質問をしすぎると敬遠されることがあるので要注意です。
“記事作成の目的”を見える化
ライターはオウンドメディアにおける“記事の立ち位置”を理解していないことが往々にしてあります。編集・ディレクション側からすれば、「企業のブランディング」「バックエンドの商品に繋げる狙い」「アフィリエイト収益目的」などの理由がはっきりしてます。
この目的が明確になると企画やライティングの精度も変わってきます。たとえば、転職専門マッチングサービス会社が運営している人事担当向けメディアがあったとしましょう。編集者がライターに執筆を依頼する場合、以下のような伝え方で大きな違いが生まれます。
- 企業の人事担当に響くような記事を書いて欲しい
- 自社の転職専門マッチングサービスに登録してもらうために企業の人事担当に響くような記事を書いて欲しい
後者の情報が入っているライターは、たとえ与えられた企画であっても、「転職」や「マッチング」を意識して記事作成に取り組めます。記事としての厚みやSEO的な効果も自然と変わってくる可能性があります。前者の情報だけではその可能性は生まれにくくなるでしょう。
“レギュレーション”を見える化
できるだけ初期段階でレギュレーションは明確にしておくことで、仕事はスムーズになり、トラブル防止にもつながります。
たとえば、スマホユーザー向けのメディアであれば基本的に横長の画像を入れることが推奨されますが、それを知らずに縦長の写真を挿入してくるライターがいます。それを理由に修正の依頼を出しても、レギュレーションに書かれていなければ、ライターからすれば「聞いていない」となってしまうわけです。
文体や表記といったトンマナも当然ながら指定があることが望ましいです。明らかな日本語の間違いは指摘すべきですが、「〜ですよね」といったラフな表現や「いかがでしたでしょうか?」の締め文句はサイトのテイストによってOKかNGか分かれます。他のサイトではOKだけれど、うちのサイトではNGといった独自のルールがある場合は優先的に共有しましょう。
Webライティングの世界は歴史が浅いため、常識があまり画一化されていません。新人のライターであれば当然ですが、ベテランのライターも紙媒体を軸に活動していきたことからもWebの世界に慣れていないケースがあります。「編集者・ディレクターの常識は決してライターの常識ではない」ことを念頭におかなければ、無駄なやり取りやトラブルにつながっていくので注意しましょう。
企画の進め方
キーワードやタイトルだけで執筆を任されるケース
キーワードやタイトルなどの少ない情報で執筆を依頼する場合は要注意です。ライターは与えられる情報が少ないので、書ける内容の幅が広がります。レギューションやターゲットが不明瞭だとなおさら自由に書けてしまうものです。
このような場合、納品された原稿が編集側の意図していた方向性とちょっと違う……なんてことは珍しくありません。単価や安い案件であれば、編集者も妥協するかもしれませんが、単価が上がるにつれてライターは質や精度の高いものを求められがちです。そのため、強く出てくる編集者も少なくありません。せっかく何時間もかけて何千文字も書いた後で、「この段落は丸々カット」「この見出しはうちのサイトにそぐわない」などの指示を受けるとライターとしてはゲンナリです。
できるだけ事前に情報を確認しておくことが望ましいですが、やむを得ず情報が少ない場合は、段階を踏んで詰めていく手法を取るといいでしょう。まず、キーワードを軸に細かい構成案を作成することです。構成案の段階で編集者がOKを出せば、見出し項目でNGを受けることはまずなくなります。初稿で大幅修正になる可能性が減ります。
当然、構成案にもリサーチが必要のため労力は大きく裂かれます。構成案を作った段階で全面NGを食らってしまうとダメージは大きいものでしょう。これを回避するためには、キーワードからまずタイトル案だけ出して、方向性が問題ないかすり合わせることおすすめします。
段階を踏む場合はスケジュール管理も
タイトル案出し→構成案作成→原稿作成といくつかの工数を踏む場合には、スケジュール管理がより大切になります。タイトル案出しから原稿作成までに1ヶ月の猶予があったとしても、最初でつまずいてしまうと執筆の時間がどんどんなくなってきます。
工数を踏むにつれて情報が増えるので業務は明確になってきますが、情報量が少ない初期段階では方向性のズレが発生しやすく必然的に修正が発生する可能性が高まります。そのため、全体スケジュールにおいて最初のタイトル出しは重要です。
3本の記事を進行するとして3本タイトル案を出したとします。そのうち、2本の方向性が異なっているとまた2本分のタイトルを出しなおさなければなりません。スムーズにOKが出た時に比べると「タイトル案修正依頼→タイトル案再提出→タイトル案再確認」の工数が増えます。窓口の編集担当が上長に確認しなければならない体制であればなおさら時間を要するわけです。
日数にして2~3日、土日が入ると5日くらい無駄に使ってしまうこともあるでしょう。そこで、最初から6本分のタイトル案を出しておけば、この無駄な修正工数を踏まないで済む可能性はぐっと下がります。もし4本分OKが出たとすれば、翌月にそのタイトル案を回すなどすることで効率的に業務が進められるようになるでしょう。
無駄な工数を減らす
タイトル出し→構成案作成→原稿作成の流れは最初は確実ですが、精度があがってくれば工数を減らすと効果的になります。ライターが編集者・ディレクターの意図を理解できるようになれば、いきなり構成案づくりや原稿作成からはじめてしまってもよいでしょう。要するに最初から高い精度で求めたものをつくれれば、石橋を叩く行為は逆に無駄になってくることもあるということです。
たまに構成案だけの委託業務を見かけるのですが、私はあまり得策だとは考えていません。編集者が構成担当という新たな人間とやりとりに費やす時間が増えるため時間はその分割かれます。また、構成だけに向き合っている人間よりも編集者やライターの方がよほど案件と向き合うので、単価を上乗せしてどちらかが作成したほうが精度が上がります。構成担当が案件のジャンルに詳しければ、その人にライティングも任せてしまえばいいわけです。作業もさながら、人が1人増えるだけで業務は滞る可能性は高くなるということです。
こまめなすり合わせを
なるべく最初のうちに、見える化を行い、作業が滞らないための手筈を整えることを推奨しましたが、企業の決まりや編集部の方針でどうしても明文化できないことや対応が難しいことはあるものです。
その場合は、案件を進めながら認識やルールのすり合わせを行い、業務効率化を図っていくことを目指しましょう。コストパフォーマンスが良くなれば企業の利益率も上がり、その分ライターに費用を上乗せできるかもしれません。そうすれば、次第に記事のクオリティ向上にもつながってくるでしょう。
また、本来であれば企画・進行は編集者先陣を切って行うものです。ただ、どうしても指示が曖昧でわかりづらかったり、計画的に進められなかったりする編集者やディレクターは存在します。そんなときはライターから率先して提案してみましょう。次第と編集スキルがアップしているはずです。