ライティング

SEOのせい?類似記事やこたつ記事って多くない?

ネットで検索すると上位には似たような記事ばかり表示される!

こたつ記事ばかりで独創性のある記事が上位に出てこない!

 

知的好奇心溢れる人やベテランライターからこのような嘆きの声は絶えません。検索してヒットした1番上のサイトも3番目も5番目も同じような内容であることはしばしば。もう少し多様な記事が上位に表示されないものだろうかと私も思うことがあります。

 

Googleは進化しているとはいえ、SEO対策(検索結果で上位表示させるための施策)に囚われすぎて記事の質が疎かになっているのではないかという疑念もいまだ多くの人に抱かれてるようです。

 

海はどこを見渡しても同じ光景のように、ネットはどこを見渡しても似たような記事ばかりなのでしょうか? なぜこんなにも類似記事が上位に出てくるか? 一次情報をマネた”こたつ記事”ばかり目につくのはなぜか? 今回はあらゆる観点からその理由や現状が変化するのかを模索していきます。

Google目線で考える

Googleは大多数が価値があると判断するものを上位にもってくる

2020年時点での、検索エンジンシェア1位は国内外問わずGoogleです。国内での使用率は約8割となっています。そのため、検索上位表示をするためにはまずプラットフォームであるGoogleを基準にする必要があります。

 

Googleは「良質なサイト」「質の高いコンテンツ」を上位表示すると公式に発表はしているものの、「最も優先すべきは、サイトを訪れたユーザーにできる限り優れたエクスペリエンスを提供することです。どうすれば、独自性、価値、魅力のあるウェブサイトになるか考えてみましょう」と書いてある程度です。

 

Google ウェブマスター向け公式ブログ「良質なサイトを作るためのアドバイス」にも「良質なサイト」の定義が書かれていますが、いずれもやや概念的で具体性はありません。「良質なサイト」である記事は上位検索されるものの、その定義は明確ではないことから、常にその方法は研究され続ており、SEOを売りにする企業の誕生が絶えません。

「良質なサイト」はあくまで機械による判断

Googleの公式には次のようなことも「良質なサイト」の定義に含めています。

記事が、あたりまえのことだけでなく、洞察に富んだ分析や興味深い情報を含んでいるか?

記事が雑誌、百科事典、書籍で読めるようなクオリティか?

「本当か?」と疑いたくなる気持ちはわかります。どう考えても、この定義が上位記事すべてに当てはまっているとは言えないでしょう。

 

Googleは、独自のアルゴリズムで記事の質を判断しているということは忘れてはいけません。つまり機械における選別です。機械である以上、人間の価値観は正確には推し量れないことは理解しなければなりません。

 

とはいえ膨大なデータから「良質なサイト」と判断していることは間違いないでしょう。記事が読まれている時間やサイトに訪れる頻度などのデータから信頼に足ると判断しているわけです。少なくとも、データ上では多くの人にとって価値のある存在だというわけなのです。

SEOをなくすことは国から法をなくすことに等しい

SEO嫌いのベテランライターは少なくありません。SEOに頼るからこそ品質の低下につながるのだと嘆く人もいるでしょう。しかし、残念ながらSEOはなくなることはありません。Googleという検索エンジンで決められた絶対ルールだからです。

 

Googleが国であればSEOは法であり、Googleが神であればSEOは自然の摂理だからです。法や自然の摂理がなくなれば均衡は保たれなくなり、悲惨な世界が訪れるでしょう。SEOによって低品質のサイトが検索されないようにネット社会は制御されています。SEOの存在意義が薄くなればネット社会が今以上に無法地帯になる可能性が十分にあるのです。

 

Googleは「良質なサイト」 上位表示させるための独自のアルゴリズムを常に進化させています。2011年にはコピーコンテンツの排除・順位降格するプログラムを導入し、2017年には質の低い医療・健康系サイトを暴き出して排除・順位降格させる対策を行なってます。これからもアルゴリズムの精度が高まり、より「良質なサイト」にふさわしいものが上位にくることを期待するしかないでしょう。

制作者目線で考える

わからないから人気の記事を参考にする

サイトを上位表示するための明確な答えはありません。「大金持ちのなり方」「モテる方法」など確実な答えがわからない課題と同じです。このような課題解決のためには、実際に成功している例を参考にするしかありません。

 

上位表示されるためのサイトをつくる場合は、上位表示されているサイトの記事を参考にすることになります。「ライター なり方」で上位表示させたければ、「ライター なり方」で検索し、上から順に読んで、テーマや切り口、読者が求めている内容などを参考にするわけです。

1つの価値の重みの違い

コピペ記事はGoogleの対策や各企業の意識改革から一時期より少なくなったと思われます。ただそれでも「またこの内容か」と思われるような類似記事、こたつ記事はまだまだ見受けられます。

 

たとえば、映画や音楽であれば酷似する作品はそこまで頻出はしません。独創性を意識する人の割合が多いこともあるのでしょうが、何よりも1つの作品の重みが違います。映画を1本つくるにはかなりの時間を要しますが、その分リターンが大きい可能性を秘めています。時間やお金をかけてつくる作品を失敗させるわけにはいきません。

 

Web記事を掲載する企業は広告収益を目的とすることが多いため、閲覧数が肝になってきます。多くの人が目にすれば収益につながる可能性は高まるからです。とはいえ、1本の記事が生む利益は映画や音楽のように大きくありません。1本だけでなく2本、3本と数が多くなれば、ユーザーがサイトへの接触する頻度も高まります。記事の数が増えればお金につながりやすいわけです。

 

数が多い分1本あたりにかけられるコストが減り、どうしても足を使って一次情報を掴む労力が割きづらくなってしまいます。また、1本あたりのコストが低い分、失敗前提での記事作成も珍しくありません。野球の打率のように、3割りでも当たる記事が御の字といった精神でサイトを運営している企業も多いでしょう。

情報量の差

書籍と違い、1本のWeb記事は当然ながら書籍と比べると盛り込まれている情報がそこまで多くありません。1冊の文庫本がだいたい10万字程度に対して、1本のWeb記事はせいぜい2000~3000文字程度。情報量は単純計算にして50分の1になります。

 

本の場合はWeb記事に比べると情報が多いため、多様な切り口や解釈を詰め込むことがでいます。そのため、総合的に模倣品は生まれづらいづらいでしょう。また、本も映画と同様に時間と費用をかけることからも、できるだけ失敗をしない前提でつくられています。そのため、質の低いものは生産されづらい仕組みになっています。

読者目線で考える

需要があるのは基礎情報

そもそもインターネットを使う多くの人は、基礎的な情報を調べます。学術的なことや専門的なことはたいてい本で調べるのではないでしょうか。基礎的な情報は表現やテーマ、解釈が限られてきます。そうなれば自然と独自性は薄くなってきます。

 

たとえば、初めて転職をする人に、ハローワークや転職サイト、転職エージェントなどを紹介するの一般的です。世間一般的で常識とされている内容を網羅せずに基礎的な情報を伝えることは極めて困難なことは少し考えればわかるでしょう。基礎情報はパターンがある程度決まっていることからも、記事数が増えれば必然的に内容は酷似してくるのです。

 

私たちがふだん旅行や食事をするときにも同じようなことが言えます。はじめて京都に行くなら金閣寺や清水寺。醤油ラーメンの名店でいきなり塩ラーメンを食べる人は稀です。まずは、マイナーなものより王道な情報を得たい気持ちは誰もがわかるのではないでしょうか。

読者は2つの”やさしさ”を求めている

多くの読者は2つの”やさしさ”を求めています。自分に寄り添ってくれるような”優しさ”と楽して理解できる”易しさ”です。テレビのドラマやバラエティを見ても”やさしい”ものばかり。頭を捻らずに見れてハッピーな気持ちになれる番組がこの国では求められています。

 

否定されて気持ちが良い人はいません。皆、自分の気持ちを許容して欲しいです。「副業をして稼ぎたい」と思えば、「副業は厳しい」という内容の記事より「副業で稼げますよ」といったやさしい声が載った記事に好意を抱くでしょう。

類似記事はある人からはオリジナルの記事

あなたが類似記事やこたつ記事だと思ったとしても、誰かにとってはオリジナルのなり得るのです。副業に詳しい人からすれば「副業 稼ぎ方」で検索して出てくる内容は当たり前かもしれませんが、これから副業を始める人にとっては新鮮な情報ばかりでしょう。

 

これはWeb記事の世界に限りません。何かを模したようなアプリゲームは星の数ほどあります。文房具や日用品も似たようなものがズラリと並んでいます。先駆的なモデルがあったとしても、二次的なモデルを最初に手にした人からすればそれは類似品ではありません。

 

「またこの情報か」と感じる場合はその分野での知識をもった人かもしれません。その世界に精通しているからこそ、当たり前と感じる情報に辟易するのではないでしょうか。あなたの当たり前は、誰かの当たり前ではないことを理解するれば少し考えが変わるかもしれません。

人は繰り返し同じようなものを求める

「今日からできる楽々ダイエット」のように、同じようなテーマを扱った雑誌の表紙を書店で幾度となく目にしたことがあるのではないでしょうか。ダイエットをしてリバウンドをして、またダイエットをする。人間とは愚かにも同じような行動を繰り返しがちです。あのときはダメだったけど、今度こそは!とまた同じ情報に手を出します。

 

繰り返し求められる普遍的な情報があるということです。同じミスを繰り返す人は、同じような情報を求めます。かくいう私もこのような経験があります。美味しい炒飯をつくるために「炒飯 プロ 作り方」と調べては失敗し、期間を開けてはまたチャレンジして同じような情報で失敗をします。このような愚かな筆者がいるので、どこかの焼き回しのような情報を生み出してもまた食いついてしまうのです。

独創性VS類似性

類似記事やこたつ記事から抜け出すためには、多くの人が独自性や独創性を意識しなければなりません。ただ、難しいことに独自性や独創性は、「当たり前」の知識を積み重ねたり、専門性を突き詰めていくことで見出せることが多いような気がします。さらには、それに反して大衆は「当たり前」や簡単なものを求めがちです。

 

また、残念ながらGoogleは専門家や評論家ではないのではないので、少数の意見はなかなか反映されないかもしれません。SEOによって価値なき記事のが目立ち、価値ある記事が埋もれているかもしれません。

 

やはり、海はどこを見渡しても同じ光景のように、ネットはどこを見渡しても似たような記事ばかりなのでしょうか。ただ、海の奥底には、想像していた以上に見たことのない絶景が広がっているかもしれません。海中で絶景を生み出せる人になれればきっと、それを世に広め、価値を見出してくれる人も現れるのではないでしょうか。

 

【参考サイト】

Desktop Search Engine Market Share Japan | StatCounter Global Stats

Googleウェブマスター


投稿者プロフィール

編集長・清水
編集長・清水
編集プロダクション雨輝の編集長。文筆業一家に生まれ、初めて編集業務に携わったのは14歳。Webライターたちの質の低さに失望し、業界を底上げすべく2014年に編プロを設立。日々、Webと紙媒体の狭間で日本語にこだわり続ける。趣味は映画・ドラマ観賞と旅。海外ドラマを語らせたら三日三晩トークが止まらないので要注意。日本は1.5周済。ひそかに文学賞を狙っている。

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