編集・ディレクション

【編集者・ディレクター必見!】優秀なライターの見つけ方、見抜き方

ライターなくして記事は生まれず、記事なくしてオウンドメディアは成り立ちません。記事の質によってメディアの行末が決まるのであれば、それはライターの能力によって決まるといっても過言ではありません。そのため、ディレクターや編集者は常に優秀なライターと出逢いたいものです。

 

けれども、予算の都合やライター人口の増加でなかなか良いライターを見つけられないで悩む企業や編集部は少なくありません。これまで数千人に及ぶライターを見てきた経験から、運営メディアを明るい未来に導いてくれる優秀なライターに必要な力やその優秀さを見抜く術についてのヒントをお伝えします。

 

編集者にとって優秀なライターとは?

 

優秀な人材といえども業界や職種によって定義はさまざま。仕事をする立場によって求められる能力が変わることもあるでしょう。保険の営業マンの場合、顧客からすれば親身になって相談に乗り、常に最新の知識を持って最適な提案をしてくれる人が優秀と言えるかもしれません。上司からすれば、獲得契約数が高く、報連相がしっかりしている人が優秀と見えるのではないでしょうか。

 

ライターも同様です。編集者を介さずに自分のブログで記事を書く場合は、読者に喜ばれることを考えれば十分でしょう。けれどもそこに、編集者がやディレクターが入れば事情は異なります。記事を管理する人間は編集側になるため、ライターは編集者にとってプラスに作用しなけばなりません。そこで編集者にとって優秀だと思えるライターの能力を5つに絞ってみました。

1.納期厳守

編集者やディレクターにとって高い質以上に納期を守ることが重要なことは珍しくありません。予算とノルマが決められている都合で納品本数がズレてしまうと社内に迷惑をかけてしまうことになります。下請け企業であれば、期限内にクライアントへの決められた本数を納品できれなければ契約違反になるなんてことも。

 

仕事をするにおいて、まず何よりも決められた本数を決められた期限までに納品することは編集者にとって必須業務です。編集者さらには、企業の損失になる可能性があることからも、納期を守れないライターとの仕事は基本的には避けたいところでしょう。

2.質の高さ

当然ながら自社媒体に掲載するクオリティに満たない記事は使いものになりません。雑誌であれWeb媒体であれ、限られた予算のなかでできるだけ良いものを生み出すことが編集者の勤めとなります。

 

雑誌も書籍もオウンドメディアも全国に晒されるいわば、企業の顔ような存在です。もし、掲載記事の質が低ければ、その企業のイメージダウンにつながりかねません。どのような顔にするかの命運は編集者にかかっているため、できるだけ”良い顔”づくりの一端を担えるライターを見出したいものです。

3.提案する力

媒体の方向性を決めるのは基本的に編集部の責務ですが、媒体イメージや業績アップにつながるヒントを出してくれるライターは嬉しいものです。ライターの提案によって助けられる編集者も珍しくはありません。

 

内側の人間である編集者はどうしてもアイデアや方向性で煮詰まってしまうことがあります。そのようなときに外部のライターであれば、編集者にはないより俯瞰した視点から提案をしてくれるかもしません。提案力があるライターが多ければ多いほど媒体としての質は高まっていくでしょう。

4.熱量

ライターの熱量は大切です。熱量があまりないライターは、良いものを生み出すポテンシャルが低いだけでなく、納期遅れや執筆の事態にもつながりかねません。書くことがとくに好きではなく、モチベーションがお金だけのライターの場合、費用対効果に見合わないと判断した時点で間違いなく手を抜きます。

 

ライターにとって最適な環境であることは理想ですが、社内の事情で発注数の減少や予算削減などの都合はあるでしょう。そのようなときに、ライターに熱量がなければ、記事の質は低下する危険性は高まります。また、ライターが辞退してしまえば、新たに人員を投入する手間と時間も生まれます。

5.意図を汲み取る力

意外と軽視しがちなのが「意図を汲み取る力」です。これは、伝えた情報を文字通り理解するだけではなく、限られた情報から推測してより編集側の思考に近づく力のことです。「1を聞いて10を知る」感覚に近いかもしれません。

 

媒体資料やレギュレーションといった文字化されたものに運営側の意図がすべて詰め込まれているとは限りません。編集者はライターに記事の執筆依頼だけを考えがちですが、媒体や企業としては利益を追求することも目的に含まれています。「なぜ記事を生み出すのか」「どうしたら企業に貢献できるのか」といった制作サイドの意図を考え、汲み取ってくれるライターがいれば、より目的にかなった媒体づくりに専念できるでしょう。

 

採用までに能力を確認する方法

 

優秀なライターを理解できたとしても、実際に採用して、一緒に仕事ができなければ意味はありません。ライターに限りませんが、人材の採用で難しいところは採用に至るまでのプロセスが短く、相手の能力を測りづらいことです。

 

もし、契約まで直接コミュニケーションが禁止されているクラウドソーシングを活用するのであればそれはなおさらです。面談やコミュニケーションすらなく、応募文面だけで優秀なライターを見つけることは簡単なことではありません。対面でのコミュニケーションよりは精度は落ちますが、チャットや応募文面だけで優秀さを推し量る方法はいくつかあります。

1.納期厳守してくれるかの判断材料

レスポンスが早く、マメに連絡する人は納期を厳守してくれる可能性がそうでない人よりは高いです。仮に納期が遅れそうになってしまう場合も細かく連絡してもらえれば編集者としは心労が募ることもなくなり、スケジューリングもしやすくなります。そのため、採用までにできるだけテキストベースでのコミュニケーションを図るようにしましょう。この段階ですでに返信が遅い人は警戒すべきです。

 

クラウドソーシングの場合は、認定ランサーやプロクラウドワーカーになるためには24時間以内の返信率が一定以上である必要があります。その認定制度を参考にすれば最低限のリスクヘッジを図れるかもしれません。ただし、公式認定してもらうためにレスポンスを意識しているライターは多く、クラウド以外でのやりとりになった場合にレスポンススピードが落ちることもあるので注意してください。

2.文章力の判断材料

ライターの文章力を測るために、実績として過去に書いた記事のURLを共有してもらう場合は多いでしょう。しかし、既に掲載されている原稿は編集者の手が加えられていることがあることを忘れてはいけません。一見しっかりとした文章でも、実際は編集側がかなり手直しをしているパターンもあります。

 

可能であればWordなどに書かれた生原稿を見せてもらうといいでしょう。ライターがブログを運営していれば、そこで文章力で判断するのがベターです。また、ブログがあれば実績のサイトを照らし合わせてみてください。あまりにも文章が異なる場合は要注意です。たまに、虚偽で自分で書いていない記事を実績として使用するライターが存在するからです。

 

文章力はプロフィール文やチャットでのテキストコミュニケーションでも推測することができます。特にチャットは素や癖が出やすいので、テキストコミュニケーションの段階でおかしな日本語を使ってきたらそれは、執筆の際にも起こりうることだと想定しておきましょう。

3.熱量や意図を汲み取る力の判断材料

ライター採用の一番の決め手はプロフィール文になるでしょう。ここでライターの熱量や意図を汲み取る力をある程度見ることができます。ポイントは次の3つです。

 

プロフィールは読みやすいか

綺麗な日本語で書かれていたとしても、改行や情報のまとめ方が適切ではないなど形式的に読みづらいプロフィールには気をつけてください。応募時に読みづらい書き方をしてくる時点で、読者へ伝えようとする意識が欠けていることになります。特にWeb媒体における記事は読みやすさが重要です。文章力に問題がなくても、読みづらいと感じた場合は、編集部との相性が悪いと疑ってかかるといいでしょう。

 

プロフィールに独自要素はあるか

クラウドソーシングの場合は、「数を打てば仕事がとれる」といった精神から、どの案件にも通用するようなプロフィール文面をコピーして使い回しているライターが数多く存在します。悪いことではありませんが、募集した案件に対してわざわざ独自のメッセージを書いてくれるライターに比べると熱意は低く、機械的に仕事をこなす傾向にあります。案件に対しての独自のプロフィール文になっているかよく確認してみてください。

 

案件に即した内容になっているか

「プロフィールの独自要素」と近しいものがありますが、熱意が伝わってくる独自の文章が書かれたとしても、全体を通して募集案件に即した内容になっているかに注目してください。たとえば、編集側が教育に特化したサイトで記事を書いてもらいたいとします。それに対して、「教育は得意です!美容と金融記事もかけます」と多くのジャンルの実績のPRをしてくるライターがよくいます。これは教育に関する特化した業績がないからという理由は当然あるかと思います。ただ、編集側としては教育以外のジャンルの情報は不要であり、むしろ教育に対して掘り下げたアピールををしてほしいものです。つまり、ライターは編集部の「意図」を読み取る能力が低いと判断することもできます。

 

プロフィール文はその人となりを出すことができます。むしろ人となりがみえないような機械的なプロフィールは危険であり、採用するにしても”賭け”になってしまいがちです。人となりが見えるプロフィール文面から熱意や意図を汲めているかに意識を向けてみてください。

まずは編集側が魅力を見せること

 

国が副業やフリーランスの生き方を推奨するに伴い、執筆意欲やコンテンツ制作の意識が低い単なる「お金儲け」ライターが量産されています。このような現状から優秀なライターを見出すことは簡単なことではないかもしれません。

 

けれども、優秀なライターは確かに存在しています。優秀なライターに出逢うためには、募集をかける編集側にも、その優秀さに見合う魅力がなければいけません。それは、単価かもしれません。やりがいを感じられる環境かもしれません。何にせよ、優秀なライターを見つける前にまず、編集部の魅力を見出し、それをアピールすることを忘れないようにしましょう。


投稿者プロフィール

編集長・清水
編集長・清水
編集プロダクション雨輝の編集長。文筆業一家に生まれ、初めて編集業務に携わったのは14歳。Webライターたちの質の低さに失望し、業界を底上げすべく2014年に編プロを設立。日々、Webと紙媒体の狭間で日本語にこだわり続ける。趣味は映画・ドラマ観賞と旅。海外ドラマを語らせたら三日三晩トークが止まらないので要注意。日本は1.5周済。ひそかに文学賞を狙っている。
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