編集・ディレクション

【発注者目線】即不採用にしたくなるライターの応募文10パターン

これまで、編集者の立場で数え切れないほどライターの応募文を見てきました。特にWebライティングの世界では、ジャンルや単価に問わず的外れな内容が散見されます。むしろ、まともな応募文の方が少ないのではないでしょうか。

 

ある程度実績を積んでいるライターでも、自分では良かれと思っているのか、勘違いしている残念な書き方も見受けられます。認定ランサーやPROクラウドワーカーも例外ではありません。今回は発注者・編集者目線で、即不採用にしたくなる応募文のパターンをいくつか紹介します。

即不採用にしたくなるライターの応募文10パターン

1.そもそも募集要項をちゃんと読んでいない

100人から応募がくると2~3割の人は、募集要項をしっかり読んでいません。「ライターなのにありえない!」と思われるかもしれませんが、これがWebライティング界の悪しき現実です。「ライター経験」や「保有資格」など、回答を指定されている項目を未記入のままで応募してくるライターは数えきれないほど存在します

 

「プロフィールページに記載してあるから必要ない」と思うのかもしれませんが、それは独りよがりの発想です。「指示を守れない= ルールを守れない = 品質が悪くなる or トラブルにつながる」と判断されかねません。不採用の烙印を押されてしまうのは当然です。

2.案件に対して内容が的外れ

採用担当者が口々に愚痴を漏らすのが、案件に関係のない情報が多々記載されているパターンです。たとえば、「政治・経済」が得意なライターを募集している案件に対して、「美容」や「クレジットカード」などまったく関係のないジャンルでの実績をPRする人がいます。不必要な情報を書きすぎると、以下のように邪推される可能性があります。

 

無駄な情報を書く→冗長的な文章を書くのでは?

関係のない情報で実績を盛る→自信がない現れなのでは?

 

単価の安いアフィリエイト記事関連の案件では通用するかもしれませんが、高単価の案件になればなるほど逆効果です。「他にも案件あったら依頼してね♪」のアピールなのかもしれませんが、それは本題の仕事をこなしてクライアントと仲良くなってから主張してください。

3.応募文が短すぎる

新人は実績が少ないことからも、アピールすることがあまりなく、応募文が寂しくなりがちです。短い応募文自体が悪いわけではありません。ただし、応募数が多い案件の場合に情報が少ないと、「実績や実力がないのでは?」と感覚的に判断されてしまうことがあります。ほかのライターとの差別化を図れるような情報がなければなおさらです。実績を増やしたり、自己のPRポイントを考えたりして読んでもらえる努力をしましょう。

 

また、短すぎる文章は、長い文章に比べると意欲に欠けているように見えてしまうことがあります。発注者は、可能であれば熱量をもった人に仕事をしてもらいたいものです。実力や実績がない段階では熱心を見せないと、なかなかまともな案件にありつくことはできないでしょう。

4.応募文が長すぎる

実績や経験の豊富さをふんだんに盛り込んだやたらと長い応募文を見かけます。掲載案件への熱意などが語られているのであればまだしも、長い文面に限って募集案件に関係のない不要な情報がだらだらと書かれていることが多いです。そして、大抵はどの案件にでも通用しそうなコピペ文面になっています。

 

これでは、「どうせ他にも同じ文面で募集して、数うち当たれば依頼がもらえると思っているテキトーなライターなのでは?」と思われてしまっても仕方がありません。クライアントはできるだけやる気のある人に依頼したいものです。そもそも、ライターには文章をまとめる力が必要なので、不必要に長い文章だとその能力を疑われかねません。

5.外部リンクに頼りすぎる

「実績はこちらからご確認ください」と自身のホームページのURLリンクを貼り付け、ほかの情報を記載しないライターにも依頼する気をなくします。無駄なく、情報がスタイリッシュにまとめられてるホームページであればいいのですが、大抵クライアントからしてみたら不要な情報が書かれています。これではコピペ文面と変わりません。外部リンクに飛ぶという工程が1つ増える分、コピペ文面よりタチが悪いと感じる方もいるでしょう。

 

また逆に、やたらと実績のURLを貼り付ける人がいます。複数の実績を提示できること自体は悪いことではありませんが、採用担当はライターが思っている以上に暇ではありません。時間も限られているので、確認したとしてもせいぜい2~3記事くらいでしょうか。どうしてもたくさんアピールをしたい場合は、応募文はコンパクトにまとめて、そのほかの実績は自身のホームページや添付ファイルなどで補足する形がいいでしょう。

6.ライターなのに文章が読みづらい

Webライティングの場合、相手に読んでもらいやすい文章を書くことが大前提です。そのため、読みづらい応募文は論外といってもいいでしょう。特に見られるのは以下のパターンで、Web媒体にあまり慣れていない年齢層が高めのライターにありがちです。

・改行が少なくて読みづらい

・読点が多すぎて読みづらい

仮に実績が華やかで文章力が高いとしても、「読者の気持ちをくめない」「独りよがりで仕事がしづらそう」などの印象を与えてしまいかねません。Webライティングは論文やレポートとは違います。相手の立場や媒体に見合った応募文の作成を心がけてください。

7.誤字脱字がある、日本語がおかしい

人間は誰もしもミスをするもの……とはいえ、応募文でそれをやってはいけません。誤字脱字があれば、「平気で誤字脱字をするのか」「文章を推敲しないのか」と思われてしまっても仕方がありません。ライターでなくてもNGな例です。「書く」仕事をするのであればなおさら慎重になってください

 

間違った日本語を使うのは当然論外ですが、たまに見かけます。たとえば「こんにちわ」「〜とゆう」などと書かれていた瞬間、日本語能力を疑ってかかります。彼女からのLINEであれば華麗にスルーできても、ライターの日本語ミスは見逃せません。また、基本的に親しくなるまでは、話し言葉を用いたメッセージは避けておいた方がいいでしょう。「〜なんで」「〜だから」など書かれると、ビジネスマナーに反することからイラッとする人もいます。丁寧さを心がけたやりとりをしましょう。

8.売りにもならない実績や強みを強調してくる

質を求めているクライアントに対して「執筆スピードが早い」とPRしても何も響きません。むしろ、「素早く書いて数をこなすだけの質の低いライターなのか」と思われることすらあります。「SEOライティングが得意」という表現も、下手をすれば「SEOを意識するだけで文章力は高くないのでは?」と疑われる材料にもなりかねないので、邪推されないような書き方をしてください。

 

また、「WEBライティング技能検定」「認定ランサー」「PROクラウドワーカー」などを不必要に強調してくる人がいます。そこまで売りになるような資格でもなく、「認定」や「PRO」の印は自然とアイコンでこちらの目に入ってくるので説明は不要です。強調しすぎると、むしろ他に売りや自信がないのかと思われかねません

9.写真から誠実さを感じられない

プロフィール内容や実績で差をつけらないライターが2人いたとしましょう。採用担当はどちらかを採用しなければなりません。どこで差をつけるべきか。クラウドソーシングの場合、それは意外と設定写真(アイコン)で決まることがあります。

 

無愛想だったり、暗い雰囲気写真だったりするよりも、明るい印象を受ける写真の方が間違いなく心象がよくなります。人とはどうしてもバイアスがかかる生き物なので、プロフィールがよかったとしても写真の印象が悪いだけで不採用にしたくなるケースもないわけではありません。クラウドソーシングは自身の顔を設定する必要はないので、どうすればよいかわからない場合は、無難に明るい印象を与えるようなフリー素材で対応してもいいでしょう。

10.連投・せっかち

クライアントの返答を待たずして、「こちらの実績もありますのでご確認ください」と連投してくる人がいます。必ずしも悪いことではありませんが、採用担当からすると確認事項が増えるので嫌がられることがあり、不必要な連投は相手に強迫観念さえ与えるので注意しましょう。

 

また、採用期限を過ぎていないのに、採用結果を確認してくる人がいます。せっかちな性格はライターとしてプラスに作用することもありますが、募集期限内での催促は相手に不快感を与えることがあります。結果を早く知りたい気持ちはわかりますが、ぐっと我慢してください。もし期限を過ぎても連絡がこなければ潔く諦めて次に目を向けましょう。

「人とは違うで差をつける」応募文を

テンプレートはあり?

推奨されているテンプレートを活用してみるのもありでしょう。ただ、他の人も同じようなテンプレートを使っていることに気づいてください。目覚ましい実績がないままでテンプレートを使った応募文は、クライアントの目に留まりづらくなってしまいます。仕事が思うように取れない場合は、できるだけ読んでもらえるような書き方を模索してみてください。

目に留まるキラーフレーズを入れてみる

例えば、「オーガニックに関する記事作成案件」に応募するとしましょう。「オーガニックに興味がある」といった記述や健康に関する記事の実績掲載は誰もがやることです。他の人と同じことをやってもなかなかお目当ての案件にはたどり着けません。そこでおすすめしたいのが、詳しい人しか知らないキラーフレーズの挿入です。

 

この案件の場合、採用担当は当然「オーガニック」についてのアンテナを貼っている人でしょう。「ヴィーガン」くらいであれば健康好きなら誰もが知っている言葉ですが、「エシカルヴィーガン」や「フルータリアン」になるとアンテナを貼っている人しか知り得ない言葉になります。ちょっと専門領域に踏み込んだフレーズを入れるだけで「この人詳しそうだな」と注目されやすくなります

ルールを破ってもいいケースとは?

募集要項はしっかり読んで、最低限のルールは守って応募すべきです。しかし、例外的にルールを破ってもいい場合があります。たとえば、条件に「〇〇の資格がある方」と記載されている募集案件にその資格がないのに応募すれば、相手の指定を無視していることになります。もし無資格だったとしても、資格をカバーできる高い能力を示すことができれば、受け入れてもらえるケースは珍しくありません。自信がある場合は、資格を補える力があることを丁寧に説明して応募してみてはいかがでしょうか。

常識をもって相手の立場になる

ある程度企業で経験を積み、対人コミュニケーションを図ってきた人からすれば、当たり前過ぎることが書かれていたかもしれません。いまや、社会常識を知るよしもないままライターになってしまう人が少なくありません。逆に考えれば、きちんとした常識をもっていれば、ある程度仕事が取れてしまうとも言えます。

 

また、採用担当や編集担当の気持ちになってみれば自分の常識が非常識だったと気づくことは思った以上にあります。ライターとしてなかなか仕事を獲得できないで悩んでいる方は、一度仕事を依頼する立場になってみてはいかがでしょうか? 思わぬ発見があるかもしれません。


投稿者プロフィール

編集長・清水
編集長・清水
編集プロダクション雨輝の編集長。文筆業一家に生まれ、初めて編集業務に携わったのは14歳。Webライターたちの質の低さに失望し、業界を底上げすべく2014年に編プロを設立。日々、Webと紙媒体の狭間で日本語にこだわり続ける。趣味は映画・ドラマ観賞と旅。海外ドラマを語らせたら三日三晩トークが止まらないので要注意。日本は1.5周済。ひそかに文学賞を狙っている。
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