編プロの仕事ライティング

取材・インタビュー記事のライティングは依頼先選びが重要!発注のポイントも解説

Webサイトの中で、人気のあるコンテンツの一つが「取材記事」です。企業や商品の魅力を掘り下げて紹介するなら、取材が欠かせないといってもよいでしょう。

また、SEOを意識しすぎた記事はどうしても似てしまいがちですが、取材記事であればオリジナリティの溢れる要素が盛り込みやすいという利点があります。

 

きちんと取材をして、その成果のすべてを文章に活かしたいなら、ライティングをプロに任せるのが安心です。しかし、誰に、どのように発注したらよいか、見当もつかないという方も多いのではないでしょうか。

 

そのようなお悩みを抱える方のために、取材ライティングの依頼先としてどのようなところが考えられるのか、取材ライティングを依頼する際に気をつけるべきポイントは何かなどを解説します。

 

インタビューだけではない?ライティングに必須の取材の定義とメリット

 

「取材」と聞くと、まずインタビュー記事を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、インタビューはあくまで取材方法の一つに過ぎません。

 

取材とは、記事を書くためのテーマを探したり、資料を集めたりする行為全般を指します。記事に掲載したいデータを集めるため図書館に行く、観光地を紹介するため現地で写真を撮ってくる、記事に関わりのある本やWebサイトを読むことなどはすべて立派な取材方法です。

 

インタビューは、その人の考え方や思いを伝えるには適していますが、データの正確性などに欠けることもあります。記事の内容によって、どのような取材方法が向いているのか、ライティングの前によく考える必要があるでしょう。

 

時折、発注者と受注者側間で「取材」の認識のズレがあり、トラブルが発生することがあるので、しっかりと業務開始前に確認しておくようにしてください。

 

取材のメリット1:質の高いコンテンツを目指せる

 

質の高いコンテンツを作りたいのであれば、取材記事を作成することが重要です。質の高いメディアの読者は目が肥えており、リテラシーもあります。そのため、読者はどのような情報をもとに書かれているかに注目します。

 

こたつ記事やフェイクニュースが多い時代だからこそ、曖昧な知見や情報をもとに記事を作成していては、ユーザーからの支持が得られません。

刑事ドラマを見ていると、よく「証言の裏を取れ」といったセリフが出てきます。証言を頭から信じるのではなく、本当のことを語っているのか調べるからこそ、事件の真相に迫れるのです。

 

ライティングも同じです。頭の中にある知識だけでは、思い込みや勘違いを避けられません。専門的な知見を持った人や実際に体験した人に話を聞くことで信頼性が増し、コンテンツとしての質もぐっと向上してきます。

 

取材のメリット2:オリジナリティを出せる

執筆前に取材を行うもうひとつのメリットは、オリジナリティのある記事が作れることです。

 

たとえば観光地の紹介をするとしましょう。現地の観光協会や役所から、宣伝用の写真を借りて記事を作ることもできます。しかし、宣伝用写真はさまざまな媒体に貸し出されているため、どの記事も似通った見た目になってしまいます。

 

現地まで足を運んで取材すれば、独自の写真が撮れます。企画段階では気づかなかった細かいポイントに目がいき、新たな視点が生まれることもあるでしょう。

 

似たようなフリー素材や内容に見慣れてしまっているユーザーも少なくはありません。より多くのユーザーを獲得し、ファンであり続けてもらうためには、ほかの媒体にはないオリジナリティを出すことが大切です。

 

取材ライティングの発注先として考えられるのは?

 

取材は、ただ現地に行けばよいというものではありません。取材する目的や、押さえておくべきポイントを明確にして、場合によってはアポイントメントを取り、最短時間で最大の効果を上げる必要があります。取材ライティングに慣れていない素人が行うには、負担が大きすぎます。

 

集客力のある取材記事を作りたいと思うなら、プロに発注するのがよいでしょう。発注先としては、「フリーライター」「クラウドソーシング」「編集プロダクション」「Webメディア制作会社」の4つが考えられますが、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

 

フリーライターのメリットとデメリット

 

フリーライターは、個人でライティングの依頼を受けている人をいいます。その中には、ライティングの仕事のみで生計を立てている専業ライターと、ほかに仕事を持ち、副業としてライティングをしている兼業ライターがいます。

 

専業ライターは、ライティングの実力だけで生活を支えているため、ある程度クオリティの高い記事が期待できるでしょう。仕事内容についても個人の裁量で自由が利くため、依頼する側としては注文がつけやすい、値引き交渉しやすいといったメリットがあります。

 

しかしフリーライターの多くは、大々的に広告を出しているわけではありません。そのため、どこを探して連絡を取ったらいいのか、わからない場合も多いでしょう。ようやく探し当てても、得意とするジャンルが異なるといった理由で、依頼を受けてもらえないこともあります。

 

またフリーライターは、初期投資もほとんどかからず副業として始めやすい仕事のため、中には期待されるほどの実力を持たない人もいます。依頼にマッチングするライターを探すのは、非常に大変だと考えておきましょう。

 

クラウドソーシングのメリットとデメリット

 

ライターを探す手間を削減したのが、クラウドソーシングサイトです。発注元の企業や個人が「どのような仕事を依頼したいか」をクラウドソーシングサイトに登録することで、その仕事を受けたいライターが応募してくるというシステムになっています。

 

大手のクラウドソーシングサイトであれば、メンバーとなっているライターも数万人という単位です。一挙に多くのライターに依頼内容を知ってもらえるため、マッチングの確率も上がります。

 

仕事内容や報酬が最初から明確になっており、ライター側からも応募しやすいシステムです。そのため、応募が集まりすぎてライターの選定に時間と手間ががかかってしまうこともあります。

 

また、クラウドソーシングサイトのメンバー登録は誰でも無条件でできることから、登録ライターのレベルはまさに千差万別です。期待通りの取材記事を作るためには、応募者の実力や人間性を見極める必要があります。

 

Webメディア制作会社のメリットとデメリット

 

もともとはサイト制作などIT関連事業を行っていた会社が、記事のライティングまで請け負うようになることがあります。近年では、そういったWebメディア制作会社が増えてきました。

 

Webメディア制作会社の多くは、ターゲット設定やキーワード選定、アルゴリズムの解析といった、SEOについての知識が豊富です。記事の企画段階から関わってもらうことで、Webサイトの効果を最大限に上げることもできます。

 

ただし、Webメディア制作会社のライターは、「SEOに強いライティングはできるものの、取材のプロではない」といったケースも少なくありません。中には日本語自体が怪しいレベルのライターもいたり、結果としてクラウドソーシングで質の低いライターに発注している企業も存在していたりします。

 

そのため、集客という目的は達成できても、記事のクオリティは低いという結果になることもあるため、注意が必要です。また、記事の企画段階から関わってもらうと、当然のことながら費用も高くなります。

 

編集プロダクションのメリットとデメリット

 

編集プロダクション(通称、編プロ)とは、出版社や広告代理店から依頼を受けて、書籍や雑誌、Webコンテンツの記事制作を行っているプロ集団です。

 

編集プロダクションは、さまざまなタイプのライターを揃えており、依頼内容に合わせてライターを選定し、記事を制作します。記事制作の経験が豊富なので、取材記事制作未経験の企業に対してもどのような記事作りがベストかアドバイスをしてくれることもあります。

 

メリットは、ライターの選定から記事の校正・校閲といった作業まで、すべて編集プロダクションが行ってくれることです。そのため、発注側の手間を大幅に削減することができます。もちろん、イターのスキルもある程度保証されているため、クオリティの高い記事が期待できます。

 

ただし、中には書籍・雑誌に特化していて、SEOの知識や実績がない編集プロダクションもあります。一方でWebライティング業界でしか実績がなく、記事のクオリティが低い名ばかりの編集プロダクションも存在するので注意してください。発注する前に、企業サイトなどで実績をよく確認するようにしましょう。

 

取材記事制作を発注した際にありがちな4つの失敗例と対策

 

取材記事のライティングについてよく知らないまま発注してしまうと、思わぬ失敗に巻き込まれることがあります。大切なのは、お互いが「記事の理想の状態」を共有することです。中でも起こりがちな失敗例と失敗しないためのポイントを4つご紹介します。

 

記事のクオリティが想定よりも低い

 

起こりやすい失敗の一つは、上がってきた取材記事のクオリティが想定よりも低かった、というものです。多くは、ライターの取材能力かライティング能力の低さに要因があります。専門知識があったとしても必ずしも良い記事が書けるわけではありません。

 

インタビューとなると特に質問力や構成力が求められるので、10000記事の執筆経験があったとしても、取材経験が乏しければよい記事は生み出しにくいでしょう。

 

《失敗しないためのポイント》

まずは、発注する前にこれまでの実績や職務経験を確認することです。記事のクオリティも高いライターや企業なら、リスクも少ないと考えられます。1本だけテスト発注をして、十分な取材能力があるか確認するのも一つの手です。

また、インタビュアーとなる方とZoomなどで対話をしてコミュニケーション能力を図るといった手もあります。ライターには思いのほか、コミュニケーションが苦手な人が多く存在しています。取材では相手との対話力や自然と答えたくなるような人柄も重要です。

 

指示した内容と違う

 

取材記事の内容や方向性が、期待したものと違ってしまうというケースもよく聞かれます。場合によっては、取材をやり直さなければ修正できないケースも存在するほどです。再取材が難しければ、記事の企画自体を取り下げなければならず、費用と時間の無駄になってしまいます。

 

《失敗しないためのポイント》

原因の多くは、発注者と受注者の意思の疎通ができていないことにあるでしょう。打ち合わせの際に、記事の目的やイメージをできる限り細かく伝えることで、齟齬を減らすことができます。

一口に取材記事といっても、制作する目的や狙っているターゲット層によって、ライティングのテイストが変わってきます。の打ち合わせの際には、記事の内容や方向性については十分に話し合ってください。

ポイントは、「記事を制作する目的」と「どのような雰囲気の文章にしたいか」です。言葉で伝えるのが難しければ、イメージに近い記事を何点か用意しておくとよいでしょう。

 

取材先とのトラブル

 

取材に慣れているベテランのライターでも、取材先の専門ジャンルについての知識が豊富だとは限りません。その場合、不用意な質問や知ったかぶりの発言で取材先を怒らせてしまうことがあります。

 

また、そのジャンルの知識がない状態で執筆すると、当然のことながら記事のクオリティも低くなりがちです。発注する際には、発注先の会社やライターの得意ジャンルを確認しておきましょう。

 

《失敗しないためのポイント》

いかなるライターにも、得意なジャンルと不得意なジャンルがあります。発注する際には、取材ジャンルについてどの程度の専門知識があるか、求める記事のレベルと合っているか確認しておきましょう。

実力のあるライターほど、畑違いのジャンルの依頼は受けません。昨今は、「なんでも書けます」といったライターが増えています。どのようなジャンルの記事なのか詳しく確認もせず、安易に取材ライティング依頼を受けるライターほど注意が必要です。

 

納期が遅れる

 

どのような仕事にも納期があるものですが、ライティングの分野では納期直前になってから「締め切りを延ばしてほしい」と連絡が来ることがあります。中には、連絡がつかないまま納品もされないといったケースもあります。

 

納期やレスポンスが遅いといったケースは経験豊富なベテランライターとの仕事でも発生します。実績や経歴だけで採用してしまっても結果的に痛い目に合うことは珍しいことではありません。

 

《失敗しないためのポイント》

個人で仕事をしているフリーライター相手だと起こりやすいトラブルです。コミュニケーションが疎かになるライターの心理には「思ったよりも難しい案件だった」「他に条件のよい仕事が入ってきたから優先順位を下げた」など理由が存在します。

そのため、依頼前にはできるだけコミュニケーションを図って、人間性を見極めるようにするとよいでしょう。

編集プロダクションなどの企業なら、担当ライターに何かあってもフォローする体制ができているので、フリーライターより納期やレスポンスのトラブルが起こりにくいといえます。

SEOと取材記事は両立できるのか?

 

クオリティの高い取材記事を作ったところで、多くの人に読んでもらわなければ意味はありません。検索上位表示するためのSEO対策をそもそもインタビュー(取材相手)の回答に依存してしまう取材記事に適応できるのだろうか?と疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。

 

結論から申し上げると、SEOと取材記事の両立は可能なのです。ただし、難易度が高くなるため、発注に当たっては抑えておくべきポイントがいくつかあります。

 

SEO×取材記事の作り方

 

SEO対策ではまず、キーワード選定が重要です。この選定を誤ればどのような良質な記事でも埋もれてしまう可能性があります。

 

キーワードが決まったら、そのキーワードに対して検索需要のある内容を盛り込んだ適切な構成案を作成します。インタビューなどを行わないのであれば、Web上のリサーチだけで構成案作成は可能です。

インタビューが入ってくるとなると、取材相手の性質や知見を想定した質問と回答を加味しながらも、検索需要のありそうな内容を入れていくといったテクニックが必要になってきます。キーワードに合わせた適切なボリュームで構成を考える力も重要です。

 

さらに、アフィリエイトなどでマネタイズとする場合であれば、適切な場所にアフィリエイトリンクを入れたり、アフィリエイト挿入を許容してくれる取材先を見つけたりといった労力も必要になるため、一筋縄ではいきません。

 

依頼先選びには要注意

 

SEOを加味した取材記事を作れる人はそう多くありません。SEOの知見が豊富なWebライターだったとしても取材が得意なわけではありません。紙媒体のベテランライターであれば記事の質が高いかもしれませんが、SEO対策には向いていません。

 

Webメディア制作会社やマーケティング専門会社などであれば、SEO面においては問題なさそうですが、この場合もまた取材記事そのもののクオリティは保証できません。

 

そのため、SEOの知見がありつつも、取材へのこだわりももっている編集プロダクションへの依頼が効果的かつ高品質な記事作りへの近道になるでしょう。

 

適切な費用を把握しておく

 

キーワード選定、企画提案、複雑な構成案作成、取材先選定やアポ取りの労力、インタビュー、原稿作成、撮影、謝礼など。SEOを加味した取材記事になるとそれなりの費用はかかってきます。

 

検索需要のあるビッグワードでSEOの取材記事を作成するとなると、1記事に対して10万~20万円ほどかかってくるケースもあります。適切な業務範囲や費用を見定めないとクオリティの安定化や継続性を見込めないので、綿密な事業計画が必要です。

 

限られた予算で取り組むコツ

 

費用がどうしても捻出できないといった方のために、経費を抑える形でプロジェクトを進行するコツをいくつかご紹介します。

 

  • キーワード選定、企画提案、アポ取りなど可能な業務は自社内で対応する
  • オンライン取材にして移動経費を抑える
  • 謝礼が必要となるような取材は避ける
  • 取材なしの記事と取材ありの記事を混ぜて予算内で公開本数を増やす

 

他にも費用を抑えながら効果的によい記事を生み出していく方法はあります。もし、少しでも悩んでしまうようであれば、まずは気になっている企業や編集プロダクション、ライターなどに相談してみるとよいでしょう。

 

読み物としての面白さとSEOを両立する依頼先を厳選しよう

 

取材もライティングも、しっかりとした事前準備が必要です。なりゆき任せでは良質な取材記事は作成できません。特に、「読み物としての面白さ」と「SEO」という方向性の違う二つの目的を同時に達成しようとするなら、依頼先も厳選する必要があります。

 

どのような依頼先にも、メリットとデメリットがあります。それをよく知ったうえで選ぶことが大切です。

さらに、記事の目的や文章のイメージを依頼先と共有することで、思い描いたような取材記事に仕上がります。ぜひこの記事を、取材ライティング依頼の予備知識として役立ててください。

 

 


投稿者プロフィール

編集長・清水
編集長・清水
編集プロダクション雨輝の編集長。文筆業一家に生まれ、初めて編集業務に携わったのは14歳。Webライターたちの質の低さに失望し、業界を底上げすべく2014年に編プロを設立。日々、Webと紙媒体の狭間で日本語にこだわり続ける。趣味は映画・ドラマ観賞と旅。海外ドラマを語らせたら三日三晩トークが止まらないので要注意。日本は1.5周済。ひそかに文学賞を狙っている。
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