編プロの仕事

翻訳・編集協力した『人生を変える集中力の高め方』が出版されました

『鬼滅の刃』が一世を風靡し、あらゆる場所で「全集中」という言葉を耳にするようになりました。作中では、奥義を放つために集中力を極限まで高めるスキルとして登場しますが、現実世界に住む皆さんはどのくらい集中力に自信がありますか?

 

手のひらサイズの電子機器1つで、いつでもあらゆる情報を手に入れられる時代になりました。リモートワークが推進され、なおさらデジタルからは離れることができなくなりました。タスクに取り組もうとすると、新たなメールや通知に気を取られた経験はないでしょうか。情報を掴もうとした途端、あらゆる広告やリンクバナーに行手を阻まれたことはないでしょうか。1つの物事に長時間集中をし続ける環境を生み出すことは、もはや困難とも言っていいかもしれません。

 

人類は集中力を削がれることで、衰退してしまったのでしょうか? 集中力の欠如は生産性を低下させてしまったのでしょうか? 今回は、「集中力」や「注意力」といった今注目されている学問分野の最新情報をまとめた書籍『人生を変える集中力の高め方』(編集プロダクション雨輝:翻訳編集協力)の一端をご紹介します。

本書について:集中力からビジネスの本質が見えてくる

二章に登場する実験データをひとつ紹介しておきます。ある会社の内勤業務をする人々の作業パターンを観察して、集中している時間を計測しました。なんと、社員が集中力の持続時間は平均で3分程度という衝撃の結論に! これは、決して他人事ではありません。本書を読み進めていくうちに、いかに自分自身が時間を無駄にしているかを痛切に感じさせられるはずです。

 

本書の魅力のひとつは、あらゆる情報に対する客観的なアプローチです。例えば、次のような多くの人が抱く疑問や俗説などに対して、ひとつひとつデータや実験を例に出し、冷静な答えが導き出されています。

  • 白昼夢を見ると集中力が高まる?
  • 金魚の集中力は人間より優れている?
  • 音楽を聴くことで本当に集中力が高まるのか?
  • マルチタスクで頭が悪くなる?
  • 瞑想は本当に集中力を高めるのか?

科学に基づくあらゆるデータを通して、注意散漫なSNS社会でどのような知恵持ち、アクションを起こしていくべきかを見出してくれる有益な一冊です。集中力の本質を知ることで、作業効率が上がったり、価値あるマーケティングが行えたりとビジネスをするうえでのヒントもたくさん書かれています。

プチ編集後記

 

私は日頃から編プロの編集者として、あらゆる媒体で複数の記事を担当しているので、マルチタスク能力にはかなりの自信がありました。何種類もの仕事を効率よく、限られた時間で仕上げることで、パフォーマンスを発揮してきたつもりです。しかし、本書を通じてマルチタスクがいかに脆弱なものかを痛感しました。

 

そもそもこれまで、「集中力」について学ぼうと思ったことすらありませんでした。本書に出合うことがなければ、集中力や注意力の正体を知ることが、これほどまに生産性の向上や自己研鑽につながるのかを知ることはなかったでしょう。もし、下手な自己啓発本を読んで成長しようとしている人がいるとするならば、ぜひ本書をおすすめしたいです。

 

人生を変える集中力の高め方

第1章 なぜ集中するのは難しいのか?
第2章 マルチタスクを行うとき,行わないとき
第3章 送り手の問題:注意を引きつけておくには
第4章 受け手の問題:自己の集中力を高めるためには
第5章 交通における集中力の重要性
第6章 私たちの脳のこれから
未来への希望

発行:2021年10月15日

出版社:ニュートンプレス

著者:ステファン・ファン・デル・スティッヘル

監修:清水寛之、井上智義、枝川義邦

訳者:徳永美恵(編集プロダクション雨輝)

翻訳・編集協力:編集プロダクション雨輝


投稿者プロフィール

編集長・清水
編集長・清水
編集プロダクション雨輝の編集長。文筆業一家に生まれ、初めて編集業務に携わったのは14歳。Webライターたちの質の低さに失望し、業界を底上げすべく2014年に編プロを設立。日々、Webと紙媒体の狭間で日本語にこだわり続ける。趣味は映画・ドラマ観賞と旅。海外ドラマを語らせたら三日三晩トークが止まらないので要注意。日本は1.5周済。ひそかに文学賞を狙っている。
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