編プロの仕事

Webと活字の強みを生かした編集プロダクションの特徴

Webメディアの増加に伴い、Webに特化した編集プロダクションの需要が高まりました。一方で、活字メディア(紙媒体)の力が弱まり、活字専門の編集プロダクションは年々減少しています。しかしながら、活字メディアにはWebメディアにはないプラスの面がたくさん存在します。Webと活字の媒体を通して得た経験や実績から、それぞれ強みや特徴を解説します。

【Web系編集プロダクション】に見られる5つの強み・特徴

1. SEOをはじめとしたマーケティング知識

活字系編集プロダクションは、基本的に「良いものをつくる」ことに注力するでしょう。Webの場合はそれに加えて、「読んでもらうためのマーケティング知識」を求められます。その最大の特徴が、検索エンジンで上位表示させる「SEO」の知識です。

 

競合サイトを意識しつつ、必要なキーワードを盛り込んで需要のあるコンテンツを制作しなければなりません。ターゲットに合わせたSNSの戦略的知識を持ち合わせている場合も多いでしょう。「ただ書く」のではなく、「読まれるものを書く」のがWeb編集プロダクションの重要な役割のひとつなのです。

2. 大量のWebコンテンツ制作に対応したスキーム

Webメディアでは、訪問率や回遊率をあげるため、ときには大量な記事数が必要になります。1つのメディアで月間数百本のコンテンツを制作することは、決して珍しいことではありません。Web系編集プロダクションは、大量のコンテンツづくりに慣れていることが多いため、それに伴うスキームづくりを難なく行えます。

 

企業が独自にライターを抱えてメディア運営をする場合もありますが、慣れないことをするとライターの選定や企画づくりの方向性で失敗をすることがあります。数々のメディアやライターを見てきたWeb系編集プロダクションであればそういった失敗はなくなるでしょう。

3. 高いマネジメントスキル

大量なコンテンツ制作が必要となるメディアでは、関わる人数が多くなります。雑誌などの活字メディアでは関わる人数は比較的多いのですがが、Webではそれを優に超えるプロジェクトが存在します。1つのメディアだけで、私が過去に管理した最大人数は300人ほどです。この人数を管理統括するには、かなりのマネジメントスキルが求められます。

 

作業効率化の工夫や適材適所の人員配置を行わなければ、プロジェクトが滞るおそれすらあるでしょう。チームや組織を束ねる高いマネジメントスキルは、規模の大きな仕事や経験値を積み重ねてきたWeb系編集プロダクションの強みと言えるのではないでしょうか。

4. 地域を限定しないライターの広がり

活字系編集プロダクションの場合は、保守的な対面コミュニケーションを重視しています。そのため、所属しているライター在住エリアが、プロダクションが位置するエリアに限定されがちです。一方てWeb系編集プロダクションは、コロナ禍以前からリモート業務を起点としており、全国ひいては世界中にライターを抱えているケースもあります。

 

遠方への取材となった場合、ネックになるのが交通費です。そこで、全国にライターが在籍しているWeb系編集プロダクションに依頼することで、かかるコストを最小限に抑えることができます。コロナ禍においてはそもそも移動が制限される場合があるため、現地ライターの力を借りれば感染拡大のリスクも最小限にとどめることができるでしょう。

5. 収益につながる提案力

活字メディアの場合は、本を読んでもらえている時点で売り上げが発生しているので、出版社の目的は達成していることになります。しかし、Webメディアの場合は無料の記事が基本のため、読んでもらうことがゴール(企業利益)にはなりません。そのため編集プロダクションが、パートナーであるクライアントの利益に貢献できる提案力は重要です。

 

メディア運営者は、世間やWeb上での流行や動向を分析しつつ、競合他社に負けないためのコンテンツ制作を目指します。サイトのUIやコンセプトが適切かどうかに頭を悩ませることもあるでしょう。経験豊富なWeb系編集プロダクションは、そのようなディア運営者が抱える課題の解決や企業のベネフィットにつながる糸口やソリューションを常に模索しています。

 

【活字系編集プロダクション】見られる5つの強み・特徴

1. 熱意と情報の正確さ

活字媒体では、時間と丹精を込めて1冊の書籍や雑誌を生み出します。熱意を持って「作品づくり」を意識している書き手と編集者は多いです。Webのコンテンツ制作では、大量に情報を発信する都合上どうしても1つの記事の思い入れが軽くなりがちです。Webしか経験したことのないライターや編集者は、「作品づくり」の重みを知らないので、生み出せるクオリティにどうしても限界が出てきます。

 

また、誤字脱字やミスがあってもすぐさま修正を行えるWebコンテンツとは異なり、活字メディアの場合は一度印刷したら基本手直しができません。ミスがあれば、それが一生世に残ることから、可能な限り間違いのないよう、入念なチェック体制で仕事をこなします。緊張感をもって確実なものを仕上げる責任感と矜恃は活字系編集プロダクションならではの強みと言えるでしょう。

2. 優れた編集体制

Web系編集プロダクションによくありがちなのが、企業実績は立派だけれども、担当する編集者・ディレクターによってクオリティのムラがあることです。某クラウドソーシングではディレクターにインターンを利用しているほど、Web業界では若いだけでなく、経験の浅い人員が入っている脆弱なプロジェクトが珍しくありません。

 

また、プロジェクトのトップにWeb関連の知見があっても、記事づくりや文章に対する理解がない場合がかなりあります。活字メディアでは、編集・文筆業の「知識」「経験」「能力」を兼ねた編集長をトップに添えて確かな品質で作品づくりがなされています。編集体制はWebよりも活字媒体のほうが優れているといえるでしょう。

3. 高い専門性

Webの場合は多くの読者にわかりやすい記事を提供する場合が多く、あまりディープな領域まで入り込まない傾向があります。調べれば誰でも書けてしまうような記事ばかり掲載されているWebコンテンツも少なくありません。そのため、割合として専門性の高いWebライターは多くないでしょう。

 

活字メディアの場合は、専門誌、知識が求められる書籍やコラムなどの依頼を受けることがあるため、ベテランライターが在籍している可能性が高くなります。専門知識や深みのある内容を求めるのであれば、活字系編集プロダクションがいいでしょう。

4. 担保されたライターのクオリティ

Webコンテンツ制作ばかり経験している編集プロダクションやライター欠点としては、SEOに意識がいきすぎて文章や内容がおろそかになってしまうことです。いまやWebライターは誰でもなれてしまうことから、拙い文章を書くライターが増えてしまいました。

 

Web編集プロダクションの編集者は、文章の良し悪しを理解できない場合もあるため、文章力が担保されません。活字媒体を経験しているライターや編集者は経験はもちろん、文章へのこだわりやプライドがあることからも安定したクオリティが期待できます

5. 締め切りへの意識

Webメディアでは大量の記事作成が求められることから、Web系編集プロダクションはスピーディに動けると思われることもありますが、必ずしもそうではありません。Webメディアでは掲載が遅れたとしても大きな損害が出にくいことから、止む無くスケジュールが後ろ倒しにされることは珍しくありません。

 

しかし、活字メディアでは印刷所のスケジュールを押さえている都合上、遅延は大きな損害につながります。決められた期限内になんとしてでも納品しなければいけない責任感は、Webよりもはるかに重くのしかかるのです。そのため締め切りを死守しなければならない大切さを活字メディアの関わる人たちは深く理解しています。

Webと活字の強みを活かしたコンテンツ制作へ

Webと活字メディアにはそれぞれ強みや弱みがあります。同じ文章を軸とした生業であることには変わりませんが、一方の世界を知らなければ、もう一方の世界では通用しないこともあるのです。Webと活字の両機能を十分に備えた編集プロダクションはそこまで多くないようですが、それぞれの強みを生かした体制で、よりこれからの時代に求められる質の高いコンテンツや作品づくりができるのではないでしょうか。

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    投稿者プロフィール

    編集長・清水
    編集長・清水
    編集プロダクション雨輝の編集長。文筆業一家に生まれ、初めて編集業務に携わったのは14歳。Webライターたちの質の低さに失望し、業界を底上げすべく2014年に編プロを設立。日々、Webと紙媒体の狭間で日本語にこだわり続ける。趣味は映画・ドラマ観賞と旅。海外ドラマを語らせたら三日三晩トークが止まらないので要注意。日本は1.5周済。ひそかに文学賞を狙っている。
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