ライティング

“最小限の努力”で初心者ライターがベテランライターに勝つ秘策

ライターの人口は年々増加し、競争率が高くなっています。新型コロナウィルスが日本の経済に追い打ちをかけるなかで、仕事が減っているというライターの声を、以前よりもSNS上で目立つようになりました。結果として、力のないメディアの衰退から初心者ライターへ仕事が行き届かなくなり、力のあるメディアからベテランライターに仕事が集中する構造が出来上がりつつあります。

 

では、経験が浅く力なき初心者ライターはどうすればいいのでしょうか。経験値を積み上げて、ベテランに太刀打ちするための力をつけるのには時間がかかります。今回は、そんな悩みをもつ初心者ライターに向けて、”最小限の努力”でベテランを凌駕することができる方法をいくつかご紹介します。

なぜベテランには仕事が回ってくるのか

ライティング業界に限らず、そもそもなぜベテランには仕事が回ってくるのでしょうか。企業がベテランに仕事を任せたい大きな理由としては以下の要素が考えられます。

 

  • 優れた実績と肩書き
  • 豊富な知識
  • 安定したクオリティ

 

まず、高品質なものを求める世界では「イメージ」が大切です。どこの馬の骨ともわからない人の力を借りていることがバレてしまうと、企業のブランドイメージは下がる可能性があります。つぎに、高品質追求する企業は当然、高品質なものを生み出せる人に仕事を依頼します。信頼と実績を積み上げてきた企業が1つでもおかしな粗悪品を世に出せば、それだけで世間から信頼を失うことがあるからです。

ベテランのように仕事を受注したい気持ちはわかりますが、初心者なので、優れた実績や肩書きは当然持ち合わせていないでしょう。実績が少なければ、クオリティが安定しているかは外側からはわかりません。専門職についており、その知識を十分に活かして新たにライターをはじめるのであればベテランと張り合えるかもしれません。たくさん記事を書いたとか、合格率の高い民間資格を保有しているとかでは、知識や能力の担保にはなりません。権威がある媒体での実績や誰もが認めるような知識をピーアールできてようやくはじめて、競争できるようになるのです。

 

ベテランと同じ土俵で戦うには、かなりの努力と時間が必要です。時間が経てば経つほど競争率は上がっていきます。では、最速かつ最小限の努力で、ベテランライター並に仕事を獲得するにはどうすればよいのでしょうか。初心者ライターが気づくべきことは、ベテランが持ち合わせる要素を武器にしようとしても競争では勝てないということです。ベテランに求められて当然とされる要素以外の領域で勝負をすることで、初心者でも大きな活路を見出せる可能性が出てきます。

1.企画力で勝負をする

ライターとして大きな仕事を得るためには、実績を積み重ねなければなりません。そのためには、目に見える実績(記事)を生み出すことが一番です。どこにでもあるような記事では、権威ある企業は目を向けてくれません。多くの人が思いつかないような企画性の高い記事を書ければ、周囲のライターと差別化を図れて、ベテラン並の大きな仕事につながっていく可能性が出てきます。

1+1で新しい価値を生む発想力

独創的な面白い企画は「発想力」から生まれます。いままで誰も思い付かなかったような切り口やアイデアで勝負できるようであれば、知識をもつベテランライターを凌駕することもできるでしょう。そもそも知識や経験で書かれたものは有益かもしれませんが、面白いとは限りません。企画性の高い面白い記事は、バズる可能性を秘めているのでメディアにとってはこのうえなく嬉しい存在となります

 

0から1を生み出すクリエイティビティがあればベストですが、1と1を組み合わせて新たな価値を生み出せる発想力があれば一気にライターとして芽が出ます。以下の記事は、どん兵衛と二郎系ラーメンの発想を組み合わせてバズった記事(の紹介記事)です。既存要素の組み合わせによってでも新しい価値を1度生み出すだけで、ライターとしての軌道に乗っていきやすくなるでしょう。

ありそうでなかった切り口。誰もが実践できてしまうようなアイデアもバズった秘訣(引用:めるも)。

海外の情報をネタにする

英語を読める人であれば、海外のネタにすることをおすすめします。日本人は英語が苦手であることからも、自ら海外の情報を得る機会がなかなかありません。その一方で多くの日本人は、海外で流行っている情報にはすぐに飛びつく傾向にあります。そのため、どのような分野であれ、欧米あたりの先進国の現地の情報をすぐに察知できるアンテナがあれば、ベテランの知識をも超える「流行」や「最新情報」が発信できるライターとして重宝されるようになるでしょう。

 

たとえば、「GIGAZINE」は海外の情報をもとに書かれている記事が多く、国内でも長く愛されているウェブメディアのひとつです。メディアの競争率も上がっていることから国内の情報ばかり扱っていてはメ差別化が図りづらくなってきています。最先端の海外情報を届ける力は、これからますます需要が高まってくるでしょう

国内発の「GIGAZINE」は日本のみならず海外でも評価を受けたウェブメディア(引用:GIGAZINE)。

臨場感のある体験型記事

クリエイティブティや語学力がなければ、体験型記事を書いてみることをおすすめします。文字が中心となる「読ませる記事」よりも、画像や動画を軸とした「見せる記事」のほうが読者を惹きつけやすいからです。写真を多用することで、読者の理解も得やすくなり、臨場感があふれて説得力も増します。

 

体験型記事のメリットは、自身の経験を通した内容になることからも、明らかな独自性が生まれることです。他のライターとの差別化も図れて、競争にも勝ちやすい実績になるでしょう。労力はかかるかもしれませんが、その分大きなリターンも見込めます。以下は、「ロケットニュース24」の家電レビュー記事です。家電専門ライターによる記事ではありませんが、十分に製品の良さが伝わってきます。体験型記事は、知識や経験に頼らずとも読者に魅力が伝わる記事になりやすいのです

ロケットニュースは切り口や表現の面白さで定評があるウェブメディアで知られている(引用:ロケットニュース24)。

2.ネーミングや立場で勝負する

仕事がなかなか獲得できないライターは、そもそも競争の激しいレッドオーシャンで戦っているのではないでしょうか。ライバルが多ければ、必然的に仕事を獲得できる可能性は下がります。ライター人口が増えるなか、同じ業界で同じような立場で居続ければ必然的に仕事も減ってくるでしょう。もし、業界のなかで「稀少性」や「新規性」のある存在になれれば、一気に突出したライターになれるかもしれません。

二刀流ライターになる

グルメや美容など業界は読者が多い分、ライターも星の数ほどいます。管理栄養士フードコーディネーター日本化粧品検定など、持っていればライターとしても間違いなく強みにはなる肩書きですが、合格率も高く、保有者も多いことから、希少性はそこまでありません。たとえば、「食育インストラクター × フードコーディネーター」と同じ食関連の資格を組み合わせている人はよく見かけます。

「食育インストラクター × ひきこもり支援相談士」だとどうでしょうか。このふたつの組み合わせはあまり見かけません。食と教育関連のプロフェッショナルのような印象を与えるだけでなく、「子ども」という一貫したテーマで追求している説得力も感じさせてくれます。食や教育に関する仕事の幅が広がくだけでなく、「ひきこもりと食」といった独自の観点から記事を書くことができるかもしれません。「食育インストラクター」も「ひきこもり支援相談士」も比較的ローコストで、難易度は高くありません。視点の切り替えによっては、比較的時間をかけずに、唯一無二のライターになることもできるのです。自分と同じような立場のライターがいなければ、そもそも競争社会で疲弊することもなくなってくるでしょう。

社会のニーズに合わせた独自の肩書き

肩書きは必ずしも「資格」である必要はありません。たとえば、「時短」という言葉が少し前から使われるようになりました。当プロダクションで活躍してもらっているライターのひとりが、早い時期から「時短研究家」の肩書きで活動しはじめました。今となっては、珍しい言葉ではなくなりましたが、使い始めた時期がよかったこともあり、「時短研究家」で検索したところ今でもトップに表示されています(2021年4月20日現在)。

なるべく早いうちから情報を打ち出していてなおかつ更新されているサイトがSEO的には強いと言われる(引用:Google)。

現在、そして未来の社会で需要がありそうな言葉を先取りして肩書きにすることで、先駆的に活動することもできるかもしれません。2021年の現在であれば、「自粛」「SDGs」などはヒントになるかもしれません。これからの社会を考えるのであれば、「スマート社会」「デジタルヘルス」など社会変革をもたらしそうなワードに注目する価値がありそうです。

3.キャラクター性・人間性で勝負する

ライターとして仕事を得るために、知恵を絞ることに囚われてはいけません。あなたというキャラクター性・人間性が人を惹きつけ、お金を呼び寄せることだってあるのです。面白さや共感力が、ブロガーとして読者を呼び寄せるかもしれません。魅力的な人間性が営業力につながるかもしれません。もし、周りから独自のキャラクター性をもっていると言われたことがあるのであれば、自分という人間性を活かしてみてはいかがでしょうか。

読者が喜ぶキャラクター

記事が読まれるひとつの基準として、「誰が書いているか」が重要になります。「この面白い人が書いている記事だから読んでみよう」と思わせることができれば、ライターとしての活動の幅は広がります。多くのファンを獲得できれば、ブログで生計を立てていくことも視野に入れられるようになるでしょう。とはいえ、簡単に誰もがなれるわけではありません。

モラハラ夫と意地悪な義母への愚痴を中心とするツイートが高い共感を呼び、多くのファンが存在するライターmaronさん。

 

世間にはなかなかいない尖ったキャラクター性や高い共感を与えられるようなキャラクター性が、必要になってきます。需要がありそうなキャラクターを分析して、それに成り切ろうとしてもいつしか疲弊してしまうかもしれません。元々自身が持ち合わせている独自の人間性と世間が求めるキャラクター性がマッチしてこそ、理想の働き方につながります。キャラクター性を売りにしたライター活動は、SNS上でのファン獲得が必須になるため、少しでも思い当たる節がある方はSNSをフル活用してみてください。

取引先が喜ぶ人間性

取引先の担当者も人間です。ライターの能力に限らず、一緒に仕事をしていて「有益」「楽しい」などと思ってもらえることで、より多くの仕事を受注できる可能性は高まります。誠実な対応や献身的な姿勢があれば、クライアントの横のつながりで新たな仕事を紹介してもらえるかもしれません。また、担当者が転職したとしても、転職先の企業から仕事をもらえることもあります。

 

「この人なら仕事を任せたい」と思わせるようなコミュニケーションを取ることは大切です。町の小さな電気屋さんを思い返してください。家電量販店よりも高い値段で商品販売するのにもかかわらず、町の人からの信用で仕事が成り立っています。リモート業務が基本となるWebライティング業界では、人間関係が希薄になりがちです。だからこそ、人と人のつながりの大切さを理解できれば新たな仕事に結びついていくでしょう。

初心者がベテランに勝る力

特にSNS上では、初心者ライターほうがベテランが書く文章よりも魅力的で、人に読まれる可能性が十分にあります。新聞記者やコラムニストのTwitterを思い返してもらえればわかるかもしれません。彼らのツイートは、そこまで面白い印象はないでしょう。ベテランは、習慣と型にはまったロジカルな文章を執筆しがちです。そのため、「面白さ」よりも、「有益性」や「正確さ」に重きを置き、多くの人が拡散したくなるような話題性に欠けることがあります。自身の立場やイメージを考えて発言をすることことからも、書ける内容が制限されてしまうこともあるでしょう。

 

一方で、初心者ライターの文章は、型にはまらないエッセイチックな書き方になりがちです。おかしな文章になることがあるかもしれませんが、立場を気にせずに自由気ままに書けることからも、人目を気にせず面白いことをストレートに伝えることができます。面白さや強い共感につながる型にはまらない自由な発想や発言こそが、結果として大きな影響をもつ可能性を秘めているのです。

 

歌の上手いオペラ歌手の公演に私たちは関心しても、感動して涙を流すことはあまりありません。しかし、歌が下手な小学生の合唱に心を打たれて感動することはあるのではないでしょうか。初心者だからといって、全てがベテランに劣っているわけではありません。ベテランになってしまえば、書ける幅は狭まり、方向転換もなかなかできなくなります。成長とともに制限されることも多いのです。初心者とは、無限大の可能性を秘めています。今だからこそできることに目を向け、ひたむきに色々なチャレンジをしてみてください。


投稿者プロフィール

編集長・清水
編集長・清水
編集プロダクション雨輝の編集長。文筆業一家に生まれ、初めて編集業務に携わったのは14歳。Webライターたちの質の低さに失望し、業界を底上げすべく2014年に編プロを設立。日々、Webと紙媒体の狭間で日本語にこだわり続ける。趣味は映画・ドラマ観賞と旅。海外ドラマを語らせたら三日三晩トークが止まらないので要注意。日本は1.5周済。ひそかに文学賞を狙っている。
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