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Webメディアの乱立。アフィリエイトサイトの繁殖。かつてより、文章を書ける人のニーズは増しました。気軽にライティングで稼げることをうたった記事を目にするようになって、どれほどの月日が流れたでしょうか。気がつけば、Webライティングは稼げる救世主的職業といわんばかりに、誰でもライターになれてしまう社会になってしまいました。
多くの人は、自身の収入を確保するために必死で生きています。しかし、自己の利益追求ばかりに目がいき、周囲や社会へ悪しき影響を及ぼしていることに気がつかないで仕事をしている人が、世の中には数多く存在しています。ライターもその職業のひとつです。ライターの責任感や能力の欠如は、多くの人に迷惑をかける可能性があるということを知っていただきたいと思います。
編集者・ディレクターに迷惑をかける可能性
質の低いライターが増えて真っ先に迷惑を被るのは、編集者・ディレクターです。ひどい日本語を書かれた日には文章の手直しをしなければならず、信用できないエビデンスで記事を書かれれば無駄にリサーチをしなければなりません。無駄な時間を割くだけならまだしも、ビジネスマナーの「ビ」の字も知らない初心者Webライターが多いので、余計なストレスに晒される編集者も少なくはないでしょう。部下の失態や無礼であれば、社内教育としての労力を費やす価値はあるかもしれませんが、外部委託の場合は無駄なコストでしかないのです。
また、問題なのはレギュレーション(ルール)さえ守れば問題ないと思い、修正や改善努力をしないライターが存在することです。なかには、編集者・ディレクターの指示の仕方が悪かったり、業務に見合うだけの単価が支払われない案件であったりします。場合によっては対応する価値がないものもあるかもしれません。けれども、決して人には誇れないクオリティなのにもかかわらず、必要な文字数を埋めてお金さえもらえればいいと思っているライターも星の数ほどいることは確かです。良きコンテンツ制作を目指す編集者からすれば、Webライターの敷居が低すぎのは決して看過できません。
読者に迷惑をかける可能性
書いた記事が、誰かに読まれることを忘れてはいけません。生み出された記事が、世の中へどのような影響を与えているかを考えたことはありますでしょうか。クライアントである編集者やディレクターが満足すれば、ビジネスとしては問題はないでしょう。しかし、クライアントも様々です。自給制で仕事をし、ただ単に上からの指示で手を抜いた仕事をする編集者は少なくありません。クオリティに問わず、最低限の情報が埋められていればまともに確認せず掲載してしまう編集者もいます。クライアントが良しとすれば、それは良い記事なのでしょうか?
杜撰なクライアントと質の低いライターが生み出したコンテンツには、嘘や曖昧なが書かれているかもしれません。ライターに悪気がなく、参考にする情報や知識に嘘が書かれていたとしても、それは参考元の責任でしょうか? そんなことはありません。参考情報の虚偽を見抜けなかったライターと編集者の責任です。確証のない儲け話を書けば、あなたの知らないどこかで誰かが大きな損失を生むかもしれません。曖昧な健康情報から病気になる人が出てくるかもしれません。ライターであるあなたは、読み手へ影響力を考慮して、責任をもって文章を書いていますでしょうか?
同業者に迷惑をかける可能性
「Webライター レベル低い」「Webライター ゴミ記事」「ライター 怪しい」など、Webライターにはネガティブな検索関連ワードがついて回ります。インターネットが発達する以前は、新聞社や出版社に関わる質の高いコンテンツや作品を生み出せる人たちが、ライターを名乗れていました。かつての格式高い職業は、時代とともにネームバリューが下がっています。それは、誰でもライタにーになれてしまう社会になり、怪しいゴミのような価値のない記事が数多く存在するようになったからです。
自己中心的で無責任な文章は、他人のライターという立場を汚している可能性があるかもしれないことを初心者の方は意識してみてください。インターネット上に存在する記事は、サイト運営者が削除しない限りなくなることは基本ありません。それは、美しい海に漂うプラスチックゴミのようなものなのかもしれません。持続可能な開発目標(SDGs)が世界で掲げられ、国を挙げてがエコを意識するようになってきましたが、“ネット上のゴミ問題”にも意識を向けるべきなのではないでしょうか。
家族に迷惑をかける可能性
ときたま、月収20万円を稼げるようになっただけで、独立してフリーランスライターになることを決断する人がいます。1人で生活するのであればまだしも、家族がいる方はよく考えた方がいいでしょう。フリーランスの1人あたりの年収は2019年を境に大きく下がっています。そのような状況下で、安定した収入を来年も再来年も稼ぎ続けることができるか胸に手を当ててみてください。
また、あまり意識している人はいないのですが、ライター側に不利になるようにつくられている契約書は多く存在しています。たとえば、記事に使用されている画像が著作権違反で企業が訴えられたとしましょう。記事に関する瑕疵(かし)責任は、ライターが負うことになるよう契約書に明記されていことがあります。フリーランスの場合は、企業に守られるどころか、大きなミスがすべて自身にふりかかるリスクすら負っているのです。それだけ、自分で戦える覚悟と知識を持ち合わせていないと最悪、家族に大きな迷惑をかけることになりかねないことも覚えておきましょう。
最低限の知識とマナーを身につけてから仕事を
もし、ライターとして活動したいのであれば、最低限の素養とマナーをまずは身につけてからにしましょう。そして、できるだけ視野を広く持って、自分の能力や書いた記事が周囲や社会にどのような影響を与える可能性があるかを考えてみてください。たとえあなたに影響力がなくとも、あなたの書く媒体は影響力を持ち合わせているかもしれません。自分で書いたものに責任を負えないのであれば、それは結果として社会にマイナスの影響を及ぼしかねません。
収入を得るために文章を書くこと自体は、決して悪いことではありません。そこに広い視野と素養があれば、きっと良きライターとしての活躍に結びついていくのではないでしょうか。社会へプラスの影響を与えてくれるような良きライターが増えることを心から願うばかりです。